「今年のアフィリエイト収入、合計したら20万円を超えていた」——そう気づいた会社員の方から、毎年2〜3月ごろに確定申告の相談が増える。

副業収入が年間20万円を超えると、会社員でも確定申告が必要になる。ただし、雑所得・事業所得どちらに分類するかで控除の使い方が変わり、申告できる経費も想像より多い。

この記事では、初めて申告を迎える会社員向けに、所得区分の判断基準・経費の具体例・申告の手順をステップ形式で整理する。2025年分の確定申告(申告期間:2026年2月16日〜3月15日)に向けて、今から準備しておこう。

年間20万円で確定申告が必要になる仕組み

会社員には「給与所得者の確定申告不要制度」があり、給与以外の所得が年間20万円以下なら原則確定申告は不要だ(国税庁:給与所得者で確定申告が必要な方、2026年4月現在)。

しかし20万円を1円でも超えると申告義務が発生する。アフィリエイトの場合、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)から支払われた報酬の合計額が判断基準となる。

注意点が2つある。

  • 20万円ルールは「所得税」限定。住民税は20万円以下でも申告が必要な場合がある(後述)
  • 「収入」から「必要経費」を差し引いた後の「所得」が20万円を超えた場合に申告義務が生じる。収入総額そのままで判断する誤解が多いので注意しよう

アフィリエイトASPの多くは年間の支払金額を「支払調書」として発行している。A8.net・もしもアフィリエイト等は会員ページから確認できる。まず収入合計を確認してから、経費を集計する順番で進めると整理しやすい。

雑所得か事業所得か?判断の境界線

アフィリエイト収入は「雑所得」か「事業所得」のどちらかに分類される。どちらに該当するかで、使える控除や損益通算(赤字を他の所得から差し引く制度)が変わる。

雑所得になるケース

  • 会社員の副業として片手間に運営している
  • 年間収入が数十万円程度で継続性・規模が小さい
  • 帳簿・記帳を行っていない

事業所得になるケース

  • フリーランスとしてアフィリエイトを本業または主要な副業として行っている
  • 継続的に一定規模の収入がある
  • 帳簿・記帳を適切に行っており事業実態がある

国税庁は2022年の通達改正で、「副業の収入が年間300万円以下の場合は原則として雑所得」とする方向性を示している(国税庁:副業に係る雑所得の範囲等について(情報))。ただし帳簿・記帳を適切に行っており事業実態があると認められる場合は、例外として事業所得が認められるケースもある。

会社員で初めて20万円を超えた程度なら、まず「雑所得」として申告するのが現実的だ。損益通算(赤字相殺)は使えないが、手続きがシンプルで初年度には向いている。

アフィリエイトで申告できる経費の具体例

雑所得・事業所得ともに、収入を得るために支出した費用は「必要経費」として差し引くことができる。意外と見落としがちな経費を確認しておこう。

元クラウドワーカーからフリーランスへ転身した自分が最初の確定申告で痛感したのは、「ASP報酬=そのまま課税」と思い込んでいた失敗だ。ドメイン代やツール費用を申告し忘れると、数万円単位で損をする。クレジットカードの明細を1月〜12月で遡るだけで大きく変わることがある。

サーバー・ドメイン代

WordPressブログを運営している場合、レンタルサーバー(エックスサーバー・ConoHa WINGなど)の月額費用とドメイン取得・更新費用は全額経費に算入できる。ブログ収益のためだけに契約しているなら全額、プライベートでも兼用している場合は業務割合で按分が必要だ。

有料ツール・サービス料金

以下は代表的な申告可能経費だ(2026年4月現在)。

  • キーワード調査ツール(ラッコキーワード有料版、Ahrefs、SEMrushなど)
  • 画像素材サービス(Adobe Stock、Shutterstockなど)
  • ライティング・校正補助ツール(文賢など)
  • AIサービス料金(ChatGPT Plus、Claude Proなど。記事作成に使っている場合)
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワードクラウド確定申告など)

サブスク型ツールは年間分が会員ページから一覧できることが多い。クレジットカードの利用明細をCSVでエクスポートしておくと、集計が楽になる。

書籍・教材費

SEO・ライティング・マーケティングに関する書籍は経費に算入できる。「業務に直接関係する」と説明できるものに限り、Kindle電子書籍も対象となる。領収書の代わりにAmazonの注文履歴・Kindleの購入履歴を保存しておこう。

通信費の按分

自宅のインターネット回線料金は、副業に使っている時間・用途の割合で按分する。「業務使用割合50%」など根拠を持って決め、計算根拠をメモしておくことが大切だ。

注意:経費として認められにくいもの

  • カフェ代(副業の作業場所として使った実績があれば一部可能だが、私的な飲食分は不可)
  • PC・スマホ本体(取得価額10万円以上は減価償却が必要。10万円未満なら一括経費計上が可能)
  • 副業と無関係な書籍・サービス

確定申告の手順(ステップ別)

会社員がアフィリエイト収入を申告する流れを、ステップ形式で整理する。

STEP 1:収入と経費を集計する

ASPの支払明細・クレジットカード明細・銀行振込記録をもとに、1月〜12月の収入と経費を集計する。Googleスプレッドシートか会計ソフトに入力するとあとの作業が楽になる。

収入額:各ASP(A8.net・もしもアフィリエイト・バリューコマースなど)の支払確定レポートを確認。
経費額:前セクションの項目を参照しながらリストアップ。

STEP 2:確定申告書を作成する

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)から申告書を作成するのが最も簡単だ。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば自宅から全て完結できる。

記入項目:

  • 給与所得:源泉徴収票の「支払金額」と「源泉徴収税額」を転記
  • 雑所得の収入金額:ASP収入の合計額
  • 雑所得の必要経費:集計した経費の合計額

e-Taxの入力画面が案内に従って進む形式なので、数値を入れれば税額は自動計算される。

STEP 3:申告・納税する

2025年分(令和7年分)の確定申告期間は2026年2月16日〜3月15日だ。納税が生じる場合は口座振替か窓口払いで期限内に納付する。還付がある場合は申告後1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれる。

STEP 4:住民税の徴収方法を選ぶ(忘れがちポイント)

所得税の確定申告をe-Taxで行えば、住民税(市区町村への報告)は自動的に連動する。別途申告は不要だ。

ただし住民税の徴収方法には「特別徴収(給与天引き)」と「普通徴収(自分で納付)」の2種類がある。会社にアフィリエイト収入を知られたくない場合は、確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で「自分で納付」を選択しよう。副業分の住民税が給与天引きとは別に請求されるため、会社の給与明細に副業収入が反映されない。

来年からの備え方

一度申告を経験したら、翌年は「年間を通じた記録」が申告作業を劇的に楽にする。

  • 毎月:ASP収入の月次確認と経費の記録(クレジット明細の保存)
  • 年末:年間集計と源泉徴収票の受け取り確認
  • 1〜2月:申告書作成・提出

freeeやマネーフォワードの会計ソフトにクレジットカードを連携させると、経費の自動取り込みが可能になり、年間の記帳負担が大幅に減る。初年度に一度手動でやってみて、翌年からソフトを活用するのがおすすめの流れだ。

FAQ

アフィリエイト収入が20万円以下でも確定申告が必要なケースは?

医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使っていない場合)など他の理由で確定申告をする場合は、20万円以下のアフィリエイト収入も合わせて申告する必要がある。また住民税は20万円以下でも市区町村への申告が必要な場合があるため、居住地の市区町村窓口に確認しよう。

ASPから源泉徴収されている場合はどうなる?

一部のASPは個人事業主扱いで報酬から10.21%の源泉徴収を差し引いた金額で支払うケースがある。確定申告で実際の所得税額を精算すると、過払い分が還付されることもある。支払調書に「源泉徴収税額」が記載されていれば、申告書に転記することで正確に精算できる。

複数サイトを運営している場合、経費はどう按分する?

アフィリエイト目的のサイトが複数あれば、経費はアフィリエイト事業全体の経費として合算できる。個人利用のサイトが混在する場合のみ、業務割合で按分が必要だ。

去年の領収書を捨ててしまった場合は?

クレジットカード明細や銀行振込記録、各サービスの請求書PDFで代用できる場合がある。AmazonやAdobeなどは過去の購入・請求履歴を会員ページからダウンロード可能だ。証拠になる記録を遡って集め直してみよう。

青色申告は使えますか?

雑所得は青色申告の対象外だ。青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには事業所得として認められる必要がある。収入規模が大きくなってきたタイミングで、税理士に相談しながら事業所得への切り替えを検討するのが現実的な流れだ。

参考文献