「Excelの関数やマクロを組める人を探しています」——クラウドソーシングでこんな案件を見かけたことはないだろうか。結論から言うと、ChatGPTやClaude Codeを使えば、プログラミング経験が浅くてもExcel・スプレッドシートの自動化案件を受注できる時代になっている。

筆者自身、2024年からChatGPTとClaude Codeを併用してExcel VBAやGAS(Google Apps Script)の自動化案件を受けてきた。最初の案件は単価5,000円の「売上データ集計マクロ」だったが、2026年7月現在では1件あたり1万〜3万円の案件を月4〜6本こなしている。この記事では、実際の案件例・単価相場・提案のコツを、自分の受注実績ベースで整理した。

Excel・スプレッドシート自動化案件とは?具体的な依頼内容

自動化案件と聞くと難しそうに感じるが、実際にクラウドソーシングに出回っている依頼の大半は「繰り返し手作業でやっている業務をボタン1つで終わらせたい」というシンプルなものだ。

2026年7月時点で、クラウドワークスココナラに出ている案件を大きく分類すると、以下の4タイプになる。

タイプ1: Excel関数・VBAマクロの作成
売上データの集計、請求書の自動生成、在庫管理シートの整備など。単価は5,000〜15,000円が中心帯。依頼者は中小企業の経理担当や個人事業主が多い。

タイプ2: Googleスプレッドシート+GAS自動化
フォーム回答の自動集計、Gmailとの連携、定期レポートの自動生成など。単価は8,000〜25,000円。スプレッドシートはチーム利用が前提のため、共有設定やトリガー設定まで含む案件が多い。

タイプ3: データ整形・クレンジング
CSVの結合、重複削除、フォーマット統一など。単価は3,000〜10,000円と低めだが、作業時間も短いため時給換算では悪くない。

タイプ4: Excel→スプレッドシート移行
既存のExcelファイルをGoogleスプレッドシートに移行し、GASで同等の自動化を再現する案件。単価は15,000〜30,000円と高め。VBAの知識とGASの両方が求められるが、ChatGPTが最も力を発揮する領域でもある。

単価相場を実案件から解説|1件5,000〜30,000円のリアル

「AIで月100万」みたいな話には正直うんざりしている。ここでは自分が実際に見積もり・受注した案件の単価感を出す。

2026年7月時点の相場感を、クラウドワークスココナラランサーズの公開案件から集計した。

案件タイプ単価帯(税込)作業時間目安時給換算
Excel関数の修正・追加3,000〜8,000円1〜2時間2,000〜4,000円
VBAマクロ新規作成8,000〜20,000円2〜5時間2,500〜4,000円
GASスクリプト作成10,000〜25,000円3〜6時間2,500〜4,200円
Excel→スプレッドシート移行15,000〜30,000円5〜10時間2,000〜3,000円
データ整形・クレンジング3,000〜10,000円1〜3時間2,000〜3,300円

ポイントは「時給換算で2,000〜4,000円」という現実的なラインだ。副業として月に4〜6件受ければ月4万〜15万円の副収入になる。ただし、最初の1〜2ヶ月は実績作りのため相場より低い単価で受けることも想定しておこう。

なお、ココナラでは「出品型」で自分のサービスとして掲載し、クラウドワークスやランサーズでは「応募型」で案件に提案する形が基本になる。出品型のほうが単価をコントロールしやすいが、最初は応募型で実績を積む方が受注しやすい。

ChatGPT・Claude Codeを使った実際の作業フロー

プログラミング経験が浅い人がこの副業を始められる最大の理由は、AIがコードを書いてくれるからだ。ただし「丸投げ」ではうまくいかない。実務で回しているフローを紹介する。

ステップ1: 依頼内容のヒアリングと要件整理
クライアントから届くのは「このシートを自動化してほしい」程度の漠然とした依頼が大半だ。まず以下を確認する。

  • 現在の手作業の手順(スクリーンショットをもらう)
  • 入力データの形式とサンプルファイル
  • 期待する出力結果の具体例
  • 使用環境(Excel のバージョン、Microsoft 365 か買い切りか、Google Workspace か)

ステップ2: ChatGPTでプロトタイプを生成
ヒアリング結果をもとに、ChatGPT(chatgpt.com)にプロンプトを投げる。コツは「完成形を一発で求めない」こと。まず小さな単位で動くコードを生成し、段階的に組み上げる。

たとえば「売上CSVを月別に集計するVBAマクロ」なら、こう分解する。

  1. CSVファイルを開いてデータをシートに取り込む部分
  2. 日付列から月を抽出してピボット集計する部分
  3. 集計結果を別シートに出力する部分

各ステップでChatGPTにコードを生成させ、Excel上で動作確認してからつなげる。この「分割→生成→検証→結合」が最も手戻りが少ない。

ステップ3: Claude Codeで複雑なロジックを補完
VBAの複雑な条件分岐やGASのAPI連携部分は、Claudeのほうが精度が高い場面がある(2026年7月時点の筆者の体感)。特にエラーハンドリングやEdgeケースの処理は、Claude Codeにコード全体を渡して「このマクロで想定されるエラーパターンを洗い出して対処コードを追加して」と指示すると、漏れが減る。

ステップ4: テストと納品
サンプルデータだけでなく、実データに近い量・パターンでテストする。マクロやGASは「10行では動くが1万行で落ちる」ことがあるため、大量データでの動作確認は必須だ。納品時には簡単な操作マニュアル(スクリーンショット付き)を添えると、クライアントの満足度が上がり、リピートにつながる。

案件の探し方と提案テンプレート

案件を見つけるプラットフォームは、2026年7月現在で以下の3つが主力だ。

1. ココナラ(出品型)
「Excel VBAマクロ作成します」「スプレッドシートのGAS自動化を代行します」といったサービスを出品する。最低価格は1,000円から設定可能だが、実績がつくまでは5,000円前後からスタートし、レビューが5件以上ついたら段階的に値上げするのが定石だ。ココナラの販売手数料は22%(税込、2026年7月時点。公式ヘルプ参照)。

2. クラウドワークス(応募型)
「Excel」「VBA」「GAS」「スプレッドシート」で検索すると、常時200〜400件の案件がヒットする。システム手数料は報酬額に応じて5〜20%(公式ページ参照)。

3. ランサーズ(応募型)
クラウドワークスと併用する人が多い。手数料体系は一律16.5%(税込、2026年7月時点。公式FAQ参照)。

提案文のテンプレートを1つ紹介する。自分が実際に使って受注率30%前後を維持しているものをベースにしている。

【提案テンプレート例】

はじめまして。Excel VBA・GASの自動化を専門に対応しております。

ご依頼内容を拝見しました。[具体的な依頼内容を1文で要約]ですね。

【対応方針】
・[手順1: 具体的な実装アプローチ]
・[手順2: 使用する技術(VBA/GAS/関数)]
・[手順3: 納品物の内容(ファイル+操作マニュアル)]

【納期】ご発注から○営業日以内
【実績】Excel自動化案件を○件対応済み(ポートフォリオ: URL)

ご不明点があればお気軽にご質問ください。

ポイントは「依頼内容を自分の言葉で要約する」こと。これだけでクライアントは「ちゃんと読んでくれている」と感じる。テンプレートの使い回しが見え見えの提案は、まず選ばれない。

プログラミング未経験でも始められる?必要なスキルと学習ステップ

結論から言うと、「完全未経験」でもスタートは可能だが、最低限の基礎知識は必要だ。具体的には以下の3つ。

1. Excelの基本操作と主要関数
VLOOKUP(または XLOOKUP)、IF、SUMIFS、INDEX+MATCH あたりは手を動かして理解しておく。Microsoft公式のExcelヘルプが最もわかりやすい。

2. VBAまたはGASの「読み方」
自分でゼロから書ける必要はない。ChatGPTが生成したコードを「何をやっているか読める」レベルで十分だ。変数、ループ(For/While)、条件分岐(If)の概念がわかれば、AIが出力したコードの修正指示を出せる。

3. ChatGPTへの的確な指示出し(プロンプト設計)
「Excelマクロを作って」では使えるコードは出てこない。「A列に日付(yyyy/mm/dd形式)、B列に売上金額が入った表から、月別の合計をSheet2のA列=月、B列=合計金額の形式で出力するVBAマクロを書いて」のように、入力・処理・出力を明確に指定する。

学習の優先順位としては、まずExcel関数の案件から始め、慣れてきたらVBA→GASと守備範囲を広げるのが無理がない。最初から高単価のGAS案件を狙うと、トラブル対応で消耗するリスクがある。

注意点|確定申告・著作権・トラブル回避

確定申告について
副業の所得(収入−経費)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になる(所得税法第120条)。ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要だ(国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」参照)。経費として計上できるのは、ChatGPT Plus(月額3,000円、2026年7月時点)、Microsoft 365(年額14,900円、個人向け)、通信費の按分などだ。

納品物の著作権
クラウドソーシングでは、納品したコード(VBAマクロ・GASスクリプト)の著作権はクライアントに譲渡するのが一般的だ。契約条件を必ず確認し、同じコードを別のクライアントに転用しないよう注意する。

AIで生成したコードの品質保証
ChatGPTが生成したコードをそのまま納品するのは危険だ。特に以下の点は手動でチェックする。

  • 大量データ(1万行以上)での動作速度
  • 空セルや異常値が混在した場合のエラー処理
  • 日本語環境特有の文字化け(Shift-JIS / UTF-8 の変換)
  • マクロのセキュリティ警告の回避方法の説明

自分の場合、ChatGPTで生成→手動テスト→Claude Codeでエラーパターン洗い出し→修正、という流れで品質を担保している。この工程を省くと、納品後の修正対応で時間を取られ、時給が大幅に下がる。

FAQ

ExcelとGoogleスプレッドシート、どちらの案件が多い?

2026年7月時点では、Excel(VBA)案件が約6割、スプレッドシート(GAS)案件が約4割の印象だ。ただしGAS案件は単価が高めの傾向があり、両方対応できると受注の幅が広がる。

ChatGPT無料版でも対応できる?

簡単な関数やVBAなら無料版(GPT-4o mini)でも対応可能だが、複雑なマクロやGASのAPI連携ではChatGPT Plus(月額3,000円、2026年7月時点)のほうが精度・速度ともに安定する。副業の経費として計上できるため、受注が安定したら導入を検討しよう。

月にどれくらい稼げる?

案件数と単価次第だが、週末だけ稼働で月4〜6件受注すれば月4万〜12万円が現実的なラインだ(個人差あり)。最初の2〜3ヶ月は実績づくりのため月1〜3万円程度を目安にしておくと、無理なく続けられる。

クライアントとのトラブルを防ぐには?

最も多いトラブルは「仕様の認識ずれ」だ。作業開始前に、入力データのサンプル・期待する出力結果・動作環境を書面(メッセージ)で確認し、合意を取ってから着手すること。修正回数の上限も提案時に明記しておくとよい。

参考文献