2026年度の再エネ賦課金が過去最高の4.18円/kWhに引き上げられ、さらに政府の電気代補助金(激変緩和措置)が2026年4〜6月は停止中だ。夏のエアコン需要が本格化するこれからの時期、電気代を少しでも抑えたいなら電力会社の乗り換えが有効な一手になる。

筆者自身、物販時代に倉庫の電気代が月5万円を超えて「固定費の見直し」に目覚めた経験がある。今は家族5人暮らしで、電力会社を乗り換えたことで年間約12,000円の削減に成功した。

この記事では、一人暮らし・ファミリー別に使用量シミュレーションで本当に安くなる電力会社を比較し、乗り換え手順を5ステップで解説する。

2026年夏に電気代が高騰する3つの理由

まず「なぜ今年の夏は特に電気代が上がるのか」を整理しておこう。値上がりの要因を理解すれば、どこを削るべきかが見えてくる。

①再エネ賦課金が過去最高の4.18円/kWhに

経済産業省は2026年3月19日、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の2026年度単価を4.18円/kWhと発表した(エネハブ)。2025年度の3.98円から0.2円の増加で、初めて4円台を突破した。

電気使用量400kWhの標準世帯なら、再エネ賦課金だけで月額1,672円・年間約20,064円の負担になる。前年度比で年間約1,000円の増加だ。

②政府の電気代補助金が4〜6月は停止中

2026年1〜2月使用分では1kWhあたり4.5円、3月使用分では1.5円の補助が実施されていたが、2026年4〜6月使用分は補助なしの状態だ(エネチェンジ)。7〜9月使用分に再開が決まっているものの、4.5円規模になるかは不透明だ。

つまり、補助なしの6月請求分から補助再開の7月までの間は、電気代がもっとも高く感じやすい時期になる。

③燃料費調整額の上昇

2026年2月末以降の中東情勢の緊迫化により、LNG(液化天然ガス)や原油の国際価格が上昇傾向にある。燃料価格の変動が家庭の電気代に反映されるまでには3〜5ヶ月のタイムラグがあるため、春先の燃料高騰が電気代として現れるのは2026年夏〜秋にかけてだ(エネがえる)。

東京電力の料金構造を理解する|電気代の内訳

乗り換え先を選ぶ前に、現在の料金がどう構成されているか確認しよう。東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」(2026年6月時点)を例に見る。

基本料金(税込)

アンペア数ごとの月額基本料金は以下のとおり(東京電力EP公式)。

  • 20A:623.50円
  • 30A:935.25円(一人暮らしの標準)
  • 40A:1,247.00円(2〜3人世帯)
  • 50A:1,558.75円(ファミリー世帯)

電力量料金(税込・1kWhあたり)

  • 第1段階(〜120kWh):29.80円
  • 第2段階(120〜300kWh):36.40円
  • 第3段階(300kWh超):40.49円

使えば使うほど単価が上がる「3段階制」のため、夏にエアコンで使用量が跳ね上がるほど第3段階の高い単価が適用される。ここが新電力で削れるポイントになる。

一人暮らし vs ファミリー|使用量別シミュレーション

「本当に安くなるのか」を判断するには、自分の月間使用量で試算するのが確実だ。検針票またはマイページで確認できる。

一人暮らし(30A・月150〜200kWh)

一人暮らしの平均的な月間使用量は約150〜200kWh。東京電力・従量電灯B(30A)で計算すると、電力量料金だけで月額約5,000〜6,500円程度になる。

一人暮らしの場合、基本料金0円の電力会社(おてがるでんきなど)を選ぶと、基本料金の935円がまるごと浮く計算だ。年間で約11,200円の削減が見込める。ただし基本料金0円プランは従量単価がやや高めに設定されていることが多いため、使用量が極端に少ない月(100kWh未満)は逆に割高になるケースもある。

結論から言うと、一人暮らしで月150kWh以上使うなら、基本料金0円系プランまたはCDエナジーダイレクト「シングルでんき」のような少量向けプランで年間5,000〜10,000円の節約が現実的なラインだ。

ファミリー(40〜50A・月350〜500kWh)

3〜5人世帯で月間350〜500kWhの使用量になると、第3段階料金(40.49円/kWh)の適用分が大きくなる。東京電力では月額約13,000〜19,000円(電力量料金のみ)に達する。

この使用量帯ではTERASELでんき「超TERASELでんき」やCDエナジーダイレクト「ファミリーでんき」のように、第3段階の単価が大手より1〜3円/kWh安いプランが効く。月間400kWhで単価が2円安ければ、第3段階分(100kWh)だけでも月200円、年間2,400円の差が出る。基本料金の差額も加えると年間8,000〜15,000円の節約が見えてくる。

自分の物販時代にさんざん電気代で痛い目を見た経験から言うと、「月300kWh超えているなら乗り換えないのは損」というのが率直な感想だ。

電力会社を選ぶときの5つのチェックポイント

「安さ」だけで選ぶと失敗する。以下の5点を必ず確認しよう。

①料金体系:基本料金と従量単価のバランス

基本料金0円プランは一人暮らし向き。ファミリーなら従量単価の第2〜3段階が安いプランを選ぶ方が効果的だ。

②市場連動型かどうか

市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格に連動する。安い時期は大きく得するが、2022年のように卸電力価格が急騰すると電気代が跳ね上がるリスクがある。リスク許容度に応じて選ぼう。固定単価型の方が毎月の支払いが安定する。

③解約金・違約金の有無

大手電力会社の一般的な従量電灯プランでは、解約金は原則不要だ(Looopでんき)。一方、新電力会社の一部プランでは契約期間の縛りや解約金が設定されていることがある。契約前に必ず確認しよう。

④セット割引(ガス・通信)

電気とガスをまとめると月100〜300円のセット割引が受けられるプランが多い。すでに都市ガスを使っているなら同じ会社で電気もまとめると手間も減る。

⑤ポイント還元・特典

楽天でんきなら楽天ポイント、auでんきならPontaポイントなど、普段使いのポイントが貯まる電力会社を選ぶと実質的な節約効果が上乗せされる。

電力会社の乗り換え手順|5ステップで完了

乗り換えは想像以上に簡単だ。工事の立ち会いも原則不要で、Webだけで手続きが完結する。

ステップ1:現在の契約内容を確認する

検針票またはマイページで以下を確認する。

  • 供給地点特定番号(22桁の数字)
  • お客さま番号
  • 契約アンペア数
  • 直近12ヶ月の月別使用量

東京電力ならくらしTEPCO webにログインすれば、使用量の履歴がグラフで確認できる。

ステップ2:比較サイトでシミュレーションする

エネチェンジ価格.com電気料金比較で、郵便番号・世帯人数・月間使用量を入力すると、年間の節約額が試算できる。複数サイトで比較するのがおすすめだ。

ステップ3:新しい電力会社に申し込む

切り替え先の公式サイトからWebで申し込む。必要なのは供給地点特定番号・お客さま番号・クレジットカードまたは口座情報のみ。現在の電力会社への解約連絡は不要で、切り替え先が代行してくれる(資源エネルギー庁)。

ステップ4:スマートメーターの設置(未設置の場合のみ)

スマートメーターが未設置の場合、地域の送配電事業者が無料で交換工事を行う。工期は約2週間、立ち会い不要のケースがほとんどだ。すでにスマートメーターが設置済みなら、申し込みから最短4日程度で切り替わる。

ステップ5:切り替え完了を確認する

次回の検針日から新しい料金プランが適用される。切り替え先のマイページで契約内容と料金を確認しよう。電気の品質(電圧・周波数)は送配電網が同じなので変わらない。停電リスクも大手と同じだ。

乗り換え前に知っておきたい注意点

オール電化住宅は慎重に

オール電化向けの深夜割引プラン(東京電力「スマートライフS」など)を使っている場合、新電力には同等の深夜割引がないことが多い。安易に乗り換えると逆に月額が上がる可能性があるため、夜間使用量の多い世帯は必ずシミュレーションしてから判断しよう。

賃貸でも乗り換えは可能

賃貸住宅でも電力会社の変更は自由にできる。大家や管理会社への許可は不要だ。ただし、マンション一括受電契約を結んでいる場合は個別に変更できないため、管理組合に確認が必要だ。

新電力の倒産リスク

新電力会社が事業撤退や倒産した場合でも、すぐに電気が止まることはない。地域の大手電力会社(東京電力など)が「最終保障供給」として電力を供給する義務があるためだ。ただし最終保障供給の料金は割高なので、早めに別の電力会社を探す必要がある。

FAQ

電力会社の乗り換えにかかる費用は?

ほとんどの場合、切り替えにかかる費用は0円だ。スマートメーターの交換も原則無料。一部の新電力プランで事務手数料がかかるケースがあるため、申し込み前に確認しよう。

乗り換えると停電しやすくなる?

ならない。どの電力会社と契約しても、電気は同じ送配電網を通じて届けられる。送電の安定性は契約先に関係なく、地域の送配電事業者が責任を持って維持している。

乗り換えにはどのくらい時間がかかる?

スマートメーター設置済みなら最短4日程度、未設置で交換工事が必要な場合は約2週間が目安だ。夏本番の7月に間に合わせるなら、6月中の申し込みがおすすめだ。

2026年7〜9月の電気代補助金が再開されたら、乗り換え不要では?

補助金は一時的な措置で、金額も縮小傾向にある。電力会社の乗り換えは恒久的な固定費削減になるため、補助金と併用することでさらに節約効果が高まる。両方やるのがベストだ。

再エネ賦課金は電力会社を変えても同じ?

同じだ。再エネ賦課金は全国一律の単価(2026年度は4.18円/kWh)で、どの電力会社と契約しても金額は変わらない。削れるのは基本料金と電力量料金の部分だ。

参考文献