せどりで年間20万円以上の利益が出た場合、確定申告は義務だ。しかし「どこまで経費にできるか」「freeeでどう入力するか」が分からず、仕入れ原価だけを計上して余計な税金を払っているケースは多い。

この記事では、2026年の確定申告に向けて、せどりで計上できる経費の全カテゴリ・按分計算の考え方・freeeを使った実際の帳簿作成手順を整理する。年末前に一度帳簿を整えておくと、翌年2〜3月の申告作業が格段に楽になる。

せどりで計上できる経費の全カテゴリ(2026年対応)

まず「何が経費になるか」を網羅的に把握することが先決だ。国税庁の「必要経費になるもの」に照らすと、収入を得るために直接・間接的に要した費用はすべて対象になる。以下に主要カテゴリを整理する(2026年10月時点)。

① 仕入れ原価(売上原価)

最も金額が大きい費用。実際に仕入れた金額を「期首在庫+当期仕入れ-期末在庫=売上原価」の計算式で算出する。期末在庫の棚卸しを怠ると過大計上になるため要注意だ。

② 販売手数料・送料

Amazon FBA手数料・メルカリ手数料(販売価格の10%)・ラクマ手数料(6.6%税込)・ヤフオク落札手数料(8.8%)などはすべて経費計上可能だ。FBA倉庫への納品送料・購入者への発送送料も対象になる。2026年4月現在、各プラットフォームの主要手数料率に変更はないが、利用開始前に公式ヘルプページで都度確認すること。

③ 梱包資材費

ダンボール・エアパッキン・テープ・OPP袋・緩衝材など。コンビニやホームセンターで購入した場合もレシートを保管しておく。1点あたりは少額でも年間では数万円になることがある。

④ ツール・サービス費

せどりで使う有料ツール類は全額経費計上できる。代表的なものを例示する。

  • Keepa(Amazon価格追跡ツール): 月約15ユーロ(円換算で約2,400円前後、為替変動あり)
  • プライスター(Amazon価格自動変更): 月5,280円〜(税込)
  • マカド(メルカリ一括管理): 月1,078円〜(税込)
  • freee会計(帳簿・確定申告): 個人スタンダードプランで月1,480円〜(税抜)

これらは勘定科目「諸経費」または「支払手数料」に分類すると整理しやすい。

⑤ 通信費(按分対象)

スマホ・自宅インターネット回線は事業利用分のみを経費計上できる。後述の「按分計算」で比率を算出する。

⑥ 交通費

ブックオフ・ハードオフ・ドラッグストア等への仕入れ目的の移動費。電車・バスは交通系ICカードの履歴、車はガソリン代・高速代・駐車場代を記録する。レシートが出ない場合は日付・目的・金額をメモに残しておくと根拠資料になる。

⑦ PC・タブレット・周辺機器

仕入れリサーチや出品作業に使うPC・スマホ・バーコードリーダー・スキャナは経費対象。取得価額10万円未満なら購入年度に全額計上、10万円以上は減価償却が必要(パソコンの耐用年数は4年)。

⑧ 古物商許可証の取得費・更新費

古物商許可の申請手数料(19,000円)も経費計上可能。継続的に中古品売買を行う場合は古物商許可が法律上必要になるため、未取得の場合は早めに対応すること。

⑨ 倉庫・保管費

トランクルーム・レンタル倉庫を使っている場合は支払額の全額が経費。自宅の一室を倉庫に使っている場合は按分計算が必要になる。

見落としがちな按分計算の考え方

按分(あんぶん)とは、事業と私用の両方に使う費用を「事業利用分だけ切り出す」計算のことだ。以下の3項目は特に漏れやすい。

スマホ・インターネット代の按分

計算例: 月額スマホ代8,000円、うち事業利用60%と判断 → 8,000円 × 60% = 4,800円を経費計上。按分比率は「1日の利用時間のうち事業に使う割合」で算出するのが合理的で、税務署に確認を求められたときに説明できれば問題ない。実態に即して50〜70%の範囲で設定する人が多い。

自宅事務所費(家賃・光熱費)の按分

計算式: 家賃 × (事業専用面積 ÷ 自宅総面積)。例として、家賃10万円・自宅70㎡のうち仕事用スペース14㎡なら、100,000円 × (14 ÷ 70) = 20,000円を経費計上できる。光熱費も同じ面積比率を適用できる。

物販の全盛期、筆者(小林)は在庫を自宅の一部屋に積み上げていた。部屋代の按分を全く申告せず、後から税理士に「これは全部拾えましたよ」と言われた。月商400万の規模でも、こういった小さな計上漏れが積み重なると、年間で数十万円単位の差になる。面積だけ今すぐ測っておく価値はある。

車・ガソリン代の按分

仕入れ専用車でない場合は事業利用割合を合理的に設定する。走行記録(日付・目的地・距離)をつけると根拠資料になる。ガソリン代・高速道路料金・駐車場代・自動車保険(按分後)・車検費用(按分後)すべてが対象だ。

freeeで仕訳する実際の手順(ステップバイステップ)

freeeは銀行口座・クレカと連携して取引を自動取得する機能が強みだ。2026年4月現在、freee会計の個人スタンダードプランは月1,480円(税抜)から利用できる。まず30日間の無料トライアルで操作感を確認してからプラン選択するのがよい。

Step 1: 口座・クレカの連携設定

freeeにログインし「口座」メニューから「口座を登録」を選択する。事業で使っている銀行口座・クレジットカードをすべて登録する。連携後は過去90日〜最大1年分の取引が自動取得される。詳細はfreee公式ヘルプ: 口座の登録・連携方法を参照。

Step 2: 仕入れ原価の登録

仕入れ時の支払いは勘定科目「仕入高」で登録する。freeeの取引入力画面では「勘定科目: 仕入高」「税区分: 課税仕入(10%)」を選択。Amazonでの仕入れはAmazonカードの明細が自動連携されるため、一括で仕入高に分類できる。

Step 3: 経費の登録と自動ルール設定

freeeでは「自動で経費を登録するルール」を設定できる。例えばKeepaの月額明細が「Keepa GmbH」名義で来る場合、「Keepa」を含む明細は「諸経費」に自動分類するルールを作ると以降の入力が不要になる。梱包材・ツール費など繰り返し出る経費はすべてルール化しておくのが時短のポイントだ。

Step 4: 按分費用の入力

スマホ代・家賃・光熱費など按分が必要な費用は「プライベート資金からの支出」として登録し、事業利用分のみを経費として計上する。freeeでは「事業主貸」「事業主借」という勘定科目を使って個人口座との出入りを整理できる。初めて触ると混乱しやすいが、freee公式サポートに図解の説明がある。

Step 5: 期末棚卸しの入力

12月末時点で手元にある在庫を数えて「期末商品棚卸高」として登録する。これが漏れると売上原価が過大計上になり、翌年の仕入れと二重計上になる。freeeの青色申告決算書には棚卸高の入力欄が用意されている。棚卸日・品目・仕入れ単価・数量を記録しておく。

Step 6: 青色申告決算書・確定申告書の提出

freeeの「確定申告」メニューから青色申告決算書を作成する。入力が完了したらe-Taxで電子申告すると、青色申告特別控除が最大65万円になる(2026年申告分も継続。紙提出の場合は55万円控除)。e-Tax利用にはマイナンバーカードまたはID・パスワード方式が必要だ。

帳簿でよくある3つのミスと対処法

ミス1: 期末在庫の棚卸し未実施

年内に仕入れたが年内に売れなかった商品は、売上原価に含めてはいけない。12月末に棚卸しを行い、期末在庫の金額を正確に記録する習慣をつけること。在庫金額が大きいほどこのミスの影響は大きくなる。

ミス2: 売上の計上時期のズレ

メルカリ・Amazonの売上は「発送完了時点」または「入金確定時点」どちらかで統一して計上する(継続適用が原則)。年をまたぐ取引で計上時期が揺れると、同一取引が2年度にまたがって認識されるリスクがある。

ミス3: 事業口座とプライベート口座の混在

仕入れにプライベートの口座やクレカを使うと帳簿が複雑になる。事業専用の口座・クレカを1枚用意すると記帳が大幅に楽になる。在庫地獄で撤退後に帳簿を整理したとき、口座を分けていなかったせいで2年分の仕訳に3日かかった経験がある。初期設定の15分が、後の数時間を節約する。

FAQ

せどりの利益が20万円以下でも確定申告は必要ですか?

給与所得者の場合、副業の所得が年間20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。ただし住民税の申告は市区町村窓口に別途必要です(給与以外の所得が発生した場合)。無職・フリーランスの場合は20万円以下でも申告が必要なケースがあります。国税庁: 確定申告が必要な方で自分の状況を確認してください。

Amazonの売上明細はどこで確認できますか?

セラーセントラルの「レポート」→「ペイメント」→「すべての取引の表示」からCSV形式でダウンロードできます。freeeのCSVインポート機能を使うか、売上金額を手動入力する方法があります。FBA手数料も同明細に含まれているので、そのまま経費として登録できます。

freeeとやよいの青色申告どちらがせどりに向いていますか?

クラウド連携・スマホ操作・自動仕訳ルールの充実度はfreeeが優位です。やよいはデスクトップ版の操作に慣れた人向きで、価格帯は似ています。販売先が複数プラットフォームにわたる場合はfreeeの連携機能が特に役立ちます。まず30日間の無料期間で試してみるのが確実です。

古物商許可なしでせどりをしている場合、経費計上に影響はありますか?

経費計上自体は古物商許可の有無に関係なく可能です。ただし中古品の継続的な売買を行う場合、古物営業法により古物商許可が必要です(違反すると3年以下の懲役または100万円以下の罰金)。申告作業と並行して許可取得を検討してください。

freeeで按分経費を入力するとき税区分はどう設定すればいいですか?

家賃は「非課税仕入」、スマホ代・光熱費は「課税仕入(10%)」が一般的な設定です。ただし家賃と管理費が一括請求になっている場合は内訳を確認して税区分を分けて入力してください。迷う場合はfreeeサポートチャット(有料プラン向け)または税理士に確認するのが確実です。

参考文献