中小企業や個人店舗のSNSアカウントを代わりに運用して、月3〜5万円の報酬を得る「SNS運用代行」。スマホとCanvaがあれば初期費用ほぼゼロで始められるうえ、在宅で完結できるため副業として注目度が高い。
自分はInstagramとTikTokの運用代行を実務でやってきた経験があるが、最初の案件を取るまでが一番きつかった。X(旧Twitter)で8万フォロワーまで伸ばした実績があっても、「企業アカウントの運用実績」がないと営業で刺さらない。この記事では、未経験からポートフォリオを作り、案件を獲得し、月間の作業フローを回すところまでを一気通貫で解説する。
2026年7月時点の料金相場・プラットフォーム仕様に基づいて書いている。
SNS運用代行の仕事内容と報酬相場(2026年7月時点)
SNS運用代行とは、クライアントのSNSアカウントについて投稿作成・スケジュール管理・コメント返信・レポート作成を代行する仕事だ。主な対象プラットフォームはInstagram、X(旧Twitter)、TikTok、LINE公式アカウントの4つ。
結論から言うと、個人が副業で請ける場合の相場は以下のとおりだ。
- Instagram運用(月12〜15投稿+ストーリーズ): 月3〜5万円(税込)
- X運用(月20〜30投稿): 月2〜4万円(税込)
- Instagram+X セット: 月5〜8万円(税込)
- TikTok(月8〜12本の短尺動画): 月5〜10万円(税込)
クラウドソーシング大手のクラウドワークスやココナラで「SNS運用代行」と検索すると、2026年7月時点で月額3万円〜5万円帯の案件が最も多い。TikTok動画の企画・撮影込みだと単価は上がるが、副業で始めるならまずInstagramの静止画投稿+ストーリーズ運用から入るのが現実的だ。
未経験からポートフォリオを作る3ステップ
企業に営業するとき、「個人アカウントのフォロワー数」だけでは弱い。クライアントが知りたいのは「ビジネスアカウントを伸ばせるかどうか」だ。以下の3ステップで実績を作ろう。
ステップ1: 架空店舗のInstagramアカウントを開設する
実在しない店舗(例: 架空のカフェ、花屋、美容サロン)のアカウントを作り、30日間・30投稿を運用する。プロフィール設計、ハッシュタグ選定、投稿デザイン、ストーリーズ活用をすべて自分でやることで、提案時に見せられるサンプルになる。
Canvaの無料プランで投稿画像は十分作れる。テンプレートから始めて、ブランドカラー・フォントを統一するだけで「運用っぽさ」が出る。
ステップ2: 数値を記録してレポートにまとめる
30日間のインプレッション数・リーチ数・エンゲージメント率・フォロワー増減をスプレッドシートに記録する。Instagramのプロアカウント(無料で切替可能)にすればインサイト機能が使える。
このデータを元に「月次レポート」を1枚作る。後述するテンプレートを使えば30分で完成する。
ステップ3: ポートフォリオを1ページにまとめる
CanvaまたはNotionで、以下の構成のポートフォリオを作成する。
- 自己紹介(SNS運用歴・得意ジャンル)
- 架空店舗の運用実績(スクリーンショット+数値)
- 投稿サンプル 6〜9枚
- 月次レポートのサンプル
- 対応可能な作業範囲と料金目安
ポートフォリオのURLをプロフィールや提案文に貼るだけで、受注率は体感で2〜3倍変わる。自分も最初はポートフォリオなしで営業して全滅だったが、架空カフェのアカウント運用実績を見せるようにしてから初案件が決まった。
案件を獲得する営業先と提案のコツ
ポートフォリオができたら、以下の4ルートで営業をかける。
1. クラウドソーシング(最初の1件目に最適)
クラウドワークス・ココナラ・ランサーズで「SNS運用」「Instagram 投稿代行」で検索する。初案件はクラウドワークスの「プロジェクト形式」が取りやすい。提案文にポートフォリオURLと「月12投稿+レポート1回」のような具体的な作業範囲を明記すると通りやすい。
手数料はクラウドワークスの場合、報酬額の5〜20%(2026年7月時点、公式ヘルプ参照)。月5万円の案件なら手取りは約4〜4.75万円になる。
2. 地元の個人店舗に直接営業
近所のカフェ・美容室・整体院など、Instagramアカウントはあるが更新が止まっている店舗を探す。Googleマップで地域を絞り、Instagram上で最終投稿日を確認。3ヶ月以上更新がない店舗はニーズがある可能性が高い。
DM or 来店で「月3万円(税込)で月12投稿とストーリーズ週3回を代行します」と具体的な金額と作業内容をセットで提案する。
3. X(旧Twitter)での発信経由
自身のXアカウントで「SNS運用のノウハウ」を発信し続けると、問い合わせが来ることがある。ただし即効性は低いので、クラウドソーシングと並行して進めるのが現実的だ。
4. ビジネスマッチングサービス
yentaやWantedlyで副業・業務委託案件を探す方法もある。特にWantedlyは「SNS運用 業務委託」で検索すると、スタートアップからの募集が見つかる。
月間投稿スケジュールのテンプレート(Instagram・月12投稿)
副業で回すなら、月12投稿(週3回)が現実的なラインだ。以下のスケジュールテンプレートをベースに、クライアントのジャンルに合わせてカスタマイズする。
- 第1週: 商品・サービス紹介(月・水・金)
- 第2週: お客様の声・ビフォーアフター(月・水・金)
- 第3週: スタッフ紹介・舞台裏(月・水・金)
- 第4週: キャンペーン・季節ネタ(月・水・金)
ストーリーズは毎日1〜2本を目安にする。「本日の営業時間」「新商品入荷」など、リアルタイム性のある内容が反応を取りやすい。
投稿スケジュール管理にはNotionのカレンダービュー、またはMetaビジネススイートの予約投稿機能(無料)が便利だ。Canvaの有料プラン(月1,000円〜、2026年7月時点)を使えば、デザイン作成から予約投稿まで一気通貫で完結する。
1投稿あたりの作業時間の目安
- 企画・リサーチ: 10分
- 画像作成(Canva): 15〜20分
- キャプション作成: 10分
- ハッシュタグ選定・予約投稿: 5分
つまり1投稿あたり約40〜45分。月12投稿で8〜9時間。これにコメント返信(月2時間程度)とレポート作成(月1時間)を加えると、月あたりの作業時間は合計11〜12時間が目安になる。月5万円の案件なら時給換算で約4,000〜4,500円だ。
報告レポートの雛形と作り方
クライアントへの月次レポートは、継続契約のカギだ。「やってます」だけでは解約される。数字で成果を見せることで信頼が積み上がる。
レポートに含めるべき項目は以下の7つ。
- 期間: 〇月1日〜〇月30日
- 投稿数: フィード〇本、ストーリーズ〇本、リール〇本
- フォロワー増減: 月初〇人 → 月末〇人(+〇人)
- リーチ数(合計・平均)
- エンゲージメント率:(いいね+コメント+保存)÷ リーチ × 100
- 反応が良かった投稿TOP3: スクリーンショット+分析コメント
- 来月の改善提案: 具体的なアクション1〜2つ
GoogleスプレッドシートやCanvaでテンプレートを1つ作っておけば、毎月データを差し替えるだけで30分以内に完成する。「来月の改善提案」を毎回入れることで、クライアントに「考えて運用してくれている」と感じてもらえる。
自分の経験では、レポートを丁寧に出すようになってから契約更新率が明らかに上がった。バズった投稿の数より、毎月の報告の質のほうが継続に効く。
確定申告と注意点(年間20万円超の場合)
SNS運用代行の副業収入が年間20万円(税引前)を超えると、確定申告が必要になる(国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」参照)。
ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要だ。お住まいの市区町村の窓口かeLTAXで手続きする。この点は見落としやすいので注意してほしい。
経費として計上できるものの例:
- Canva有料プランの利用料
- 投稿用の素材購入費(ストックフォト等)
- SNS運用関連の書籍・オンライン講座費
- クラウドソーシングの手数料
- 業務に使用するスマホ・PCの按分費用
帳簿はfreeeやマネーフォワード クラウド確定申告で管理すると楽だ。レシートの写真を撮るだけで仕訳してくれる。
FAQ
SNS運用代行に資格や経験は必要?
資格は不要だ。ただし、自分のSNSアカウントで最低1ヶ月以上の運用実績(投稿頻度・エンゲージメント率の把握)があると提案に説得力が出る。架空店舗での練習運用で十分カバーできる。
本業の会社にバレる可能性は?
住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に切り替えれば、会社の給与天引きに副業分が上乗せされない。確定申告書の第二表で選択できる(国税庁の手引き参照)。ただし、自治体によっては対応が異なる場合がある。
クライアントとのやりとりはどのツールが多い?
個人店舗はLINE、企業はChatworkかSlackが多い。契約前に連絡手段を確認し、クライアントが普段使っているツールに合わせるのが基本だ。
月5万円以上に単価を上げるには?
Instagram単体の運用に加えて、リール動画の企画・編集、広告運用(Meta広告)、LINE公式アカウントの配信代行をセットにすると月8〜15万円の提案が通りやすくなる。まずは1つのプラットフォームで実績を積んでから横展開するのが堅い。
土日だけの稼働で回せる?
月12投稿+ストーリーズ程度なら、土日に翌週分をまとめて作成し予約投稿すれば回せる。コメント返信だけ平日に1日10分程度対応すれば十分だ。
参考文献
- クラウドワークス — ワーカーシステム利用料 — CrowdWorks, 2026年
- 給与所得者で確定申告が必要な人 — 国税庁
- Instagramインサイトについて — Instagram ヘルプセンター
- Instagram for Business — Meta
- Canva — デザインツール — Canva Pty Ltd