2025年10月、メルカリは利用規約を改定し、個人アカウントでの「事業者利用」を明確に禁止した。これにより、月間出品数200品以上・同時出品数100品以上のアカウントには事業者フラグが立ち、最悪の場合アカウント凍結(利用制限)に至るケースが報告されている。
筆者自身、せどり全盛期に月商400万円を叩き出していた時期がある。あの頃は出品数の制限なんて気にしたこともなかった。だが今の環境は全く違う。個人せどらーが月5万円の利益を維持しながら、凍結リスクを回避するための出品戦略を、実数字ベースで整理した。
メルカリ事業者認定とは? 2025年10月の規約改定の要点
メルカリは2025年10月1日付で利用規約を改定し、個人アカウントによる「事業者としての利用」を禁止事項に追加した。背景には特定商取引法(特商法)の適用強化がある。
特商法では、営利目的で反復継続的に商品を販売する場合、事業者として特商法上の表示義務(氏名・住所・電話番号の開示)を負う。メルカリはプラットフォームとして、この法的要件を満たさない大量出品アカウントへの対応を迫られた形だ。
結論から言うと、以下の基準に該当するとアカウントに「事業者フラグ」が立つとされている。
- 月間出品数 200品以上: 1か月間に新規出品した商品数の合計
- 同時出品数 100品以上: ある時点で「出品中」ステータスの商品が100品を超える状態
- 同一商品の大量出品: 同じ商品(型番・写真が酷似)を短期間に複数出品
フラグが立った場合、まず「事業者届出のお願い」という通知が届く。届出をしないまま出品を継続すると、出品制限→アカウント利用停止と段階的に措置が厳しくなる。2026年5月現在、凍結から復帰できたという報告はSNS上でもごく少数だ。
凍結されない出品ペース管理|月5万円利益を維持するライン
では、個人せどらーが安全に活動できるラインはどこか。月5万円(税引前)の利益を目標に逆算してみよう。
メルカリせどりの平均的な利益率は、仕入れ値・送料・メルカリ手数料(販売価格の10%)を差し引いて20〜30%が相場だ。利益率25%と仮定すると、月5万円の利益に必要な売上は約20万円。1品あたりの平均販売価格を2,000円とすれば、月間100品の販売が必要になる。
ここで重要なのは、「出品数」と「販売数」は別物という点だ。全品が売れるわけではないので、販売率(売れる確率)を考慮する必要がある。
| 販売率 | 月間販売目標 | 必要な出品数 | 200品ルール |
|---|---|---|---|
| 50% | 100品 | 200品 | ギリギリ(危険) |
| 60% | 100品 | 167品 | セーフ |
| 70% | 100品 | 143品 | 余裕あり |
つまり、販売率60%以上をキープできれば、月200品未満の出品で月5万円の利益は達成可能だ。販売率を上げるには以下が効く。
- 仕入れ精度を上げる: 売れ筋リサーチを徹底し、回転率の高い商品に絞る
- 価格設定の最適化: 相場より5〜10%安く出品し、値下げ交渉の余地を残す
- 出品時間帯: ターゲット層がアクティブな20〜23時に出品する
- 写真と説明文の質: 1品あたり写真4枚以上、状態の正直な記載で購入率を上げる
自分の経験で言えば、物販時代に「数で勝負」の発想で月500品以上出品していた時期があった。在庫は膨らむ一方で、倉庫代だけで月15万円が飛んでいた。今の規約環境では、数より質にシフトするのが生存戦略だ。
同時出品100品の管理方法|在庫回転で枠を空ける
月間出品数と並んで注意が必要なのが、同時出品数100品の上限だ。「出品中」のまま売れ残っている商品が100品を超えると、フラグの対象になる。
対策はシンプルで、売れない商品は早めに削除すること。具体的には以下のルーティンを推奨する。
- 出品後7日経過: いいね数・閲覧数を確認。閲覧数20未満なら写真・タイトル・価格を見直す
- 出品後14日経過: 10%以上の値下げを実施。それでも反応がなければ削除を検討
- 出品後30日経過: 売れていなければ一旦削除。ヤフオクやラクマへの横流しを検討
常時出品数を70〜80品に抑えておけば、新規出品の余地を確保しつつ100品の上限を超えることはない。スプレッドシートやせどり管理ツール(メルカリアプリの出品管理画面でも確認可能)で出品中商品数を週次でチェックする習慣をつけよう。
メルカリShops移行の判断基準|個人アカウントとの違い
出品数の上限を気にせず物販を続けたいなら、メルカリShopsへの移行が選択肢になる。メルカリShopsは事業者向けのプラットフォームで、個人アカウントの出品制限は適用されない。
ただし、移行にはトレードオフがある。2026年5月現在の比較は以下の通りだ。
| 項目 | 個人アカウント | メルカリShops |
|---|---|---|
| 販売手数料 | 10% | 10% |
| 出品数制限 | 事業者フラグあり | なし |
| 特商法表示 | 不要(個人取引扱い) | 必須(氏名・住所・電話番号) |
| 古物商許可 | 推奨(法的にはグレー) | 推奨(中古品扱いの場合は必須) |
| 値下げ交渉 | あり | なし(定額販売) |
| フォロー機能 | あり | ショップフォローあり |
| 確定申告 | 雑所得(年20万円超で必要) | 事業所得として申告可能 |
移行を検討すべきタイミングは以下の3つだ。
- 月間出品数が常に150品を超える: 200品の上限に近づいており、出品ペースの制約がストレスになっている場合
- 月の利益が10万円を超え始めた: 事業所得として確定申告するメリット(経費計上・青色申告控除)が出てくる水準
- 同一商品を継続的に仕入れて販売している: 特商法上の「事業者」に該当する可能性が高く、個人アカウントでの継続はリスクが大きい
逆に、月の出品数が100品未満で不用品処分が中心なら、無理にShopsに移行する必要はない。
古物商許可の取得手順|費用・期間・必要書類
中古品を仕入れて転売する場合、古物商許可(古物営業法に基づく許可)の取得が法律上必要だ。無許可で営業した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される(古物営業法第31条)。
「メルカリで月数品売るだけなのに必要?」という疑問はよくあるが、要するに「利益目的で中古品を仕入れて売る」行為を反復して行うなら必要だ。自分の不用品を売るだけなら不要。
取得手順は以下の通り。
Step 1: 管轄の警察署を確認
自宅(営業所)を管轄する警察署の「生活安全課」が窓口になる。警察庁の古物営業ページから各都道府県の案内を確認できる。
Step 2: 必要書類の準備
- 古物商許可申請書(警察署で入手 or ダウンロード)
- 住民票の写し(本籍地記載、マイナンバー記載なし)
- 身分証明書(本籍地の市区町村役場で発行。運転免許証とは別物)
- 登記されていないことの証明書(法務局で発行)
- 略歴書(過去5年分の職歴)
- 誓約書
- 営業所の使用権限を証する書類(賃貸契約書のコピーなど)
Step 3: 申請・審査
- 申請手数料: 19,000円(2026年5月現在、都道府県により異なる場合あり)
- 審査期間: 約40〜60日(警察署による)
- 書類不備がなければ、許可証が交付される
費用は申請手数料19,000円+書類取得費(住民票300円、身分証明書300円、登記証明書300円程度)で、合計約2万円。行政書士に代行を依頼すると別途3〜5万円かかるが、書類自体は個人でも十分に準備できるレベルだ。
FAQ
Q. 月200品未満でも凍結されることはある?
ある。同一商品の大量出品や、新品商品の反復販売など、出品パターンから事業者と判断されるケースが報告されている。出品数だけでなく、出品内容の多様性も意識することが重要だ。
Q. 事業者届出の通知が来たらどうすればいい?
メルカリShopsへの移行か、出品数・内容の見直しを行う。通知を無視して出品を続けると、アカウント利用停止に進む可能性が高い。通知が届いた時点で一旦出品を止め、対応を検討しよう。
Q. 古物商許可なしでメルカリShopsは開設できる?
開設自体は可能だが、中古品を仕入れて販売する場合は古物商許可が法律上必要になる。メルカリShopsの開設時に許可番号の入力欄があり、中古品カテゴリを扱う場合は事実上必須だ。
Q. 凍結されたアカウントの売上金はどうなる?
メルカリの規約上、利用制限中でも売上金の振込申請は可能とされている。ただし、調査中は振込が保留される場合がある。メルカリヘルプセンターに問い合わせて状況を確認しよう。
Q. ラクマやヤフオクにも同様の規制はある?
ラクマ(楽天)やヤフオク(Yahoo!)も特商法に基づく事業者表示を求める動きがある。プラットフォームごとに基準は異なるが、中古品の反復販売を行うなら古物商許可の取得は全プラットフォーム共通で必要だ。
参考文献
- メルカリ プレスリリース・お知らせ — 株式会社メルカリ
- 通信販売における特定商取引法の概要 — 消費者庁
- 古物商許可申請の手引き — 警視庁
- 古物営業関係法令 — 警察庁
- メルカリShops 公式サイト — 株式会社ソウゾウ
- 給与所得者で確定申告が必要な人 — 国税庁