「AIで音楽が作れるらしいけど、それって副業になるの?」——結論から言うと、なる。ただし曲を1つ作って即・月収10万という世界ではない。2026年7月現在、AI作曲ツールの進化で音楽制作の技術的ハードルはほぼゼロになった一方、収益化には「量の積み上げ」と「販路の選択」が必要だ。
筆者(原田)はClaude CodeやChatGPTを使ったAI副業を実務で回しているが、AI作曲ツールも当然テスト済みだ。Sunoのプロンプトを200パターン以上試して分かったのは、「70点の曲を量産するほうが、100点を1曲磨くより圧倒的に収益になる」ということだった。この記事では、Suno・Udioを使ったBGM販売副業の具体的な手順・費用・月収目安を、実数字ベースで解説する。
AI作曲ツールSuno・Udioの料金プランと商用利用条件【2026年7月時点】
BGM販売副業を始めるなら、まず「商用利用できるプラン」に加入する必要がある。2026年7月現在の主要2ツールの料金体系は以下の通りだ。
Suno(v5.5対応)
- Free:50クレジット/日(約10曲/日)。商用利用不可
- Pro:月額0(年払い/月)。2,500クレジット/月(約500曲)。商用利用OK・生成物の著作権はユーザーに帰属
- Premier:月額0(年払い4/月)。10,000クレジット/月(約2,000曲)。Suno Studio利用可
1曲あたり約5クレジット消費。Proプランなら月500曲まで生成でき、商用利用権が付与される。副業スタートならProプラン(月額約1,500円)で十分だ。クレジットは月ごとにリセットされ、未使用分の繰り越しはできない点に注意。
参考:Suno公式料金ページ
Udio
- Free:100クレジット/月。商用利用不可
- Standard:月額0(年払い/月)。2,400クレジット/月。商用利用OK
- Pro:月額0(年払い4/月)。6,000クレジット/月
Udoは2025年10月にUniversal Music Group(UMG)との訴訟和解後、ダウンロード制限が強化された。2026年7月現在、有料プランでもストリーミング中心の「ウォールドガーデン」方式に移行しつつあり、BGM販売用のWAV/MP3ダウンロードが制限される場合がある。販売目的なら現時点ではSunoのほうが使いやすい。
参考:Udio公式料金ページ
どちらを選ぶべきか
結論から言うと、BGM販売副業にはSuno Proプラン(月額0)が最もコスパが良い。理由は3つ。
- 商用利用権が明確で、生成物の著作権がユーザーに帰属する
- WAV/MP3のダウンロードに制限がない
- 月500曲の生成枠があり、量産戦略に対応できる
BGMの販売先3選|AudioJungle・DOVA-SYNDROME・YouTube
曲を作ったら、次は「どこで売るか」だ。販路によって収益モデルがまったく異なる。
1. AudioJungle(Envato Market)
海外最大級のストックミュージックマーケットプレイス。YouTuber・映像制作者が業務用BGMを購入するプラットフォームだ。
- 価格帯:1曲あたり0〜0が相場(Standard License)
- 手数料:非独占(Non-Exclusive)の場合、著者取り分は約36%。独占契約なら37〜70%(累計売上に応じて段階的に上昇)
- 審査:あり。音質・構成・ミキシングの品質チェックを通過する必要がある
- AI生成の扱い:2026年7月現在、AI生成楽曲を明示的に禁止する規約はないが、審査で品質が足りなければリジェクトされる
仮に5の曲が月10本売れた場合、非独占で5 × 10 × 0.36 = 約4(約8,100円)。100曲以上のカタログを積み上げて初めて安定収益が見えてくる世界だ。
2. DOVA-SYNDROME
国内最大級のフリーBGM配布サイト。約18,700曲が公開されている(2026年時点)。2026年3月に株式会社TRACKSが運営を引き継いだ。
- 収益モデル:楽曲自体は無料配布。収益はYouTube Content IDによる広告収入の分配
- 仕組み:投稿した楽曲がYouTube動画で使用されると、Content IDが検知し、広告収益の一部がクリエイターに還元される
- メリット:審査のハードルが比較的低く、国内ユーザーからの利用が多い
1曲あたりの月間収益は数十円〜数百円が現実的なラインだが、200曲以上を公開しているクリエイターの月収中央値は1万円以上というデータもある。逆に30曲以下だと月収ゼロの中央値だ。量がモノを言う。
3. YouTube BGMチャンネル運営
自分でYouTubeチャンネルを開設し、BGMをループ再生する動画として投稿する方法。「作業用BGM」「カフェミュージック」系の需要は根強い。
- 収益モデル:YouTube広告収入(YouTubeパートナープログラム加入が条件)
- 収益化条件:チャンネル登録者1,000人以上+直近12ヶ月の公開動画の総再生時間4,000時間以上
- 収益目安:BGM系はCPM(1,000回再生あたりの広告収入)が〜と低めだが、長時間再生されやすい特性がある
月間10万再生で約1万〜3万円。収益化条件のクリアまで3〜6ヶ月かかるケースが多いが、一度軌道に乗れば過去動画が継続的に再生される「ストック型収入」になるのが強みだ。
AI作曲BGM販売の具体的ワークフロー【5ステップ】
ここからは、Sunoを使ってBGMを量産し、販売するまでの具体的な手順を解説する。
ステップ1:Suno Proプランに登録
Suno公式サイトでアカウントを作成し、Proプラン(月額0)に加入する。Google/Discordアカウントで登録可能。支払いはクレジットカードまたはPayPal。
ステップ2:ジャンル・用途を決めてプロンプトを作成
売れるBGMにはパターンがある。以下のジャンルは需要が安定している。
- 企業VP・プレゼン用:明るく前向き、テンポ100〜120BPM
- YouTube動画用:ローファイ、チル、アコースティック
- ゲーム・アプリ用:8bit、シンセウェーブ、環境音
- カフェ・店舗BGM:ジャズ、ボサノバ、アンビエント
Sunoのプロンプト例:「Uplifting corporate background music, acoustic guitar and piano, 110 BPM, positive and motivational, no vocals」。英語プロンプトのほうが精度が高い傾向がある。
ステップ3:生成→選別→軽編集
1プロンプトで2パターン生成されるので、良い方を選ぶ。そのまま使える品質なら編集不要だが、以下の軽編集で品質が上がる。
- フェードイン/フェードアウトの追加(Audacityなど無料DAWで可能)
- ループポイントの調整(BGMは繰り返し再生されるため、自然なループが重要)
- 音量の正規化(ラウドネス基準-14 LUFS程度に揃える)
無料ツールならAudacityで十分対応できる。1曲あたりの作業時間は生成3分+選別2分+編集5分=約10〜15分が目安だ。
ステップ4:メタデータを整えて各プラットフォームに投稿
BGMの販売ではメタデータ(タイトル・タグ・説明文)がSEOに直結する。
- タイトル:用途+ジャンル+雰囲気(例:「Uplifting Corporate Motivational Background Music」)
- タグ:英語で10〜15個。「corporate」「background」「uplifting」「piano」「presentation」など
- 説明文:利用シーンを具体的に記載(例:「Perfect for business presentations, YouTube intros, and corporate videos」)
ステップ5:週10〜20曲ペースで積み上げる
BGM販売はカタログビジネスだ。1曲で大きく稼ぐのではなく、数百曲の蓄積で月数万円を狙う。
- 目標:最初の3ヶ月で100曲を公開する
- ペース:平日に2〜3曲/日(30〜45分/日の作業)
- 品質基準:「自分がYouTube動画のBGMとして違和感なく聞けるか」が最低ライン
月収目安と収益シミュレーション
「で、結局いくら稼げるの?」——ここが一番気になるところだろう。現実的な数字を出す。
収益モデル別の月収レンジ
| 販路 | カタログ数 | 月収目安(税引前) | 安定するまでの期間 |
|---|---|---|---|
| AudioJungle | 50〜100曲 | 3,000〜8,000円 | 3〜6ヶ月 |
| AudioJungle | 200曲以上 | 1〜3万円 | 6〜12ヶ月 |
| DOVA-SYNDROME | 200曲以上 | 1〜2万円 | 6〜12ヶ月 |
| YouTube BGMチャンネル | 動画50本以上 | 1〜5万円 | 6〜12ヶ月 |
| 3販路併用 | 200曲以上 | 3〜10万円 | 6〜12ヶ月 |
ポイントは複数販路への同時展開だ。同じ曲をAudioJungle(販売)+DOVA-SYNDROME(Content ID収益)+YouTube(広告収入)の3つに出せば、1曲あたりの収益機会が3倍になる。ただし、AudioJungleで独占契約を結ぶ場合は他販路での配布ができなくなるため、非独占(Non-Exclusive)を選ぶこと。
初期コストと損益分岐点
- 必須コスト:Suno Proプラン 0/月(約1,500円)のみ
- あると便利:Audacity(無料)、外付けヘッドホン(3,000〜5,000円・既存のものでOK)
- 損益分岐点:月1,500円以上の売上で黒字。AudioJungleで5の曲が月3本売れれば到達
初期投資が月額約1,500円と極めて低いため、副業としてのリスクは小さい。ただし、「月5万円を安定して稼ぐ」には200曲以上のカタログと6ヶ月以上の運用期間が現実的に必要だ。
著作権・法的リスクと注意点
AI作曲で最も注意すべきは著作権の問題だ。ここを軽視すると、収益どころかトラブルに発展する。
AI生成楽曲の著作権は誰のものか
2026年7月現在、日本の著作権法ではAI生成物の著作権の帰属について明確な判例は少ない。ただし、以下のポイントは押さえておくべきだ。
- Sunoの利用規約:Proプラン以上では「生成物の権利はユーザーに帰属」と明記。商用利用も許可されている
- 文化庁の見解:AIが自律的に生成した著作物は著作権法上の保護を受けない可能性がある一方、人間が「創作的寄与」をした場合は保護の余地がある(文化庁 著作権制度の解説)
- 実務上の対応:プロンプトの工夫、曲の選別・編集など「人間の創作的関与」を残すことが重要
既存楽曲との類似リスク
AI作曲ツールは学習データに基づいて生成するため、既存の有名曲に似たメロディが出力される可能性がゼロではない。対策として以下を推奨する。
- 生成後に既存曲との類似チェックを行う(YouTubeにアップして Content ID に引っかからないか確認する方法が簡便)
- ボーカル入りの曲は避け、インスト(楽器のみ)のBGMに絞る(歌詞の著作権リスクを排除)
- メロディよりも環境音・アンビエント系のほうがリスクが低い
確定申告について
BGM販売の収入は雑所得(または事業所得)として確定申告が必要だ。会社員の場合、副業所得が年間20万円を超えたら所得税の確定申告義務が生じる。ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要なので注意。
経費として計上できるもの:Sunoのサブスク費用、ヘッドホン・マイク等の機材費、参考書籍代など。
FAQ
音楽の知識がゼロでもAI作曲で稼げますか?
BGMの生成自体は音楽知識なしで可能です。ただし、「売れるBGM」を量産するには、ジャンルの違いや用途別の雰囲気を聴き分ける耳が必要です。最初の1ヶ月は色々なジャンルを生成して耳を慣らすところから始めましょう。
SunoとUdio、BGM販売にはどちらがおすすめ?
2026年7月現在、BGM販売にはSunoを推奨します。Udoは2025年のUMG訴訟和解後、ダウンロード制限が強化されており、販売用の音源ファイル取得に制約があるためです。Sunoは商用ライセンスが明確で、WAV/MP3のダウンロードも制限なく行えます。
AI生成BGMであることを販売先に申告する必要がありますか?
AudioJungleやDOVA-SYNDROMEには、2026年7月時点でAI生成を明示的に禁止する規約はありません。ただし、各プラットフォームの規約は変更される可能性があるため、投稿前に最新の利用規約を必ず確認してください。
月5万円に達するまでにどのくらいの期間が必要ですか?
複数販路を併用し、週10〜20曲ペースで投稿した場合、200曲以上のカタログが揃う6〜12ヶ月後が目安です。ただし、ジャンル選定やメタデータの最適化によって大きく変動します。最初の3ヶ月は月数千円からのスタートが現実的です。
AudioJungleの審査に落ちた場合はどうすればいい?
Audacityで音量の正規化(ラウドネス調整)、フェードイン/アウトの追加、不要なノイズの除去を行い再投稿してください。それでも通らない場合は、まずDOVA-SYNDROMEやYouTubeで実績を積みつつ、編集スキルを向上させるのが現実的です。
参考文献
- Suno公式 料金プラン — Suno, 2026年
- Udio公式 料金プラン — Udio, 2026年
- AudioJungle — Royalty Free Music & Audio — Envato
- DOVA-SYNDROME フリーBGM素材サイト — 株式会社TRACKS
- 著作権制度の解説 — 文化庁
- 確定申告が必要な方 — 国税庁