金利が動き始めた2026年秋、「安全に預けるならどこが得か」という問いへの答えが変わってきた。個人向け国債の変動10年型は直近適用利率が1%台に乗り、一部ネット銀行の定期預金もキャンペーン込みで1%超の商品が登場している。一方、大手銀行の定期預金は依然として0.3%前後に留まる。

本記事では、個人向け国債3タイプとネット銀行・大手銀行の定期預金の2026年9月時点の金利を並べ、100万円を1〜5年運用した場合の税引後手取り差額を一覧化する。購入から換金まで手続き全手順も掲載するので、初めての方でもこれ一本で動ける内容にした。

なお、金利は頻繁に更新される。掲載値は2026年9月時点の各公式サイト・財務省発表値に基づくが、最新値は必ず各公式サイトで確認してほしい。

個人向け国債3タイプの2026年秋適用利率

個人向け国債は財務省が発行する元本保証の債券で、1万円から購入できる。タイプは「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類。利率は発行回ごとに異なり、変動10年は半年ごとに見直しがある。

タイプ期間2026年9月発行 適用利率利率の仕組み
変動10年10年1.02%半年ごとに見直し。基準金利(10年物国債利回り)から0.80%を差し引いた値。最低0.05%保証
固定5年5年0.83%購入時から満期まで固定
固定3年3年0.67%購入時から満期まで固定

※上記は2026年9月時点の財務省発表値を基に記載。最新の適用利率は財務省・個人向け国債公式ページで必ず確認すること。

変動10年型の利率は日本銀行の政策金利引き上げが続く中で上昇しており、2024年以前の最低水準(0.05%前後)と比べると大幅に改善した。2025年以降に日銀が追加利上げを重ねたことで、2026年秋時点では1%台が当面続くとみられている。

カセゲン先輩(編集部)もこの1年間、変動10年を小額から試してきた。「国債って地味なイメージだったが、1%を超えると定期預金と真剣に比較する価値が出てきた。まず数字を並べてみよう」というのが実感だ。

ネット銀行・大手銀行の定期預金金利比較(2026年9月)

定期預金の金利は銀行によって大きく差がある。ネット銀行は低コスト運営を背景に高金利を設定しやすく、大手銀行との差は2〜4倍に広がっている場合もある。

銀行種別1年3年5年備考
SBI新生銀行ネット1.30%1.20%1.10%新規口座向けキャンペーン金利含む場合あり
auじぶん銀行ネット1.00%1.15%1.05%au契約者優遇あり
UI銀行ネット1.10%1.20%口座開設期間限定あり
楽天銀行ネット0.90%0.95%0.85%楽天証券との連携でポイント加算あり
オリックス銀行ネット0.80%1.00%0.95%eダイレクト預金(ネット専用)
三菱UFJ銀行大手0.30%0.30%0.30%スーパー定期(300万円未満)
三井住友銀行大手0.30%0.30%0.30%スーパー定期(300万円未満)
みずほ銀行大手0.30%0.30%0.30%スーパー定期(300万円未満)

※2026年9月時点の各行公式サイトを基に編集部が調査。金利は随時変更される。最新値は各行の公式サイトで必ず確認すること。キャンペーン金利は適用条件が異なるため、口座開設前に詳細を確認してほしい。

100万円を1〜5年運用した場合の税引後手取り比較

利子には一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の源泉徴収が適用される。利率が高い=手取りが多いのは当然だが、1年物と5年物・定期預金と国債で実際の差額がどのくらいになるかを試算した。

計算式:税引後利子 = 元本 × 利率 × 年数 × (1 − 0.20315)

商品利率1年の税引後3年の税引後累計5年の税引後累計
個人向け国債 変動10年1.02%※18,128円24,384円40,640円
個人向け国債 固定5年0.83%6,614円19,843円33,071円
個人向け国債 固定3年0.67%5,339円16,017円—(3年満期)
SBI新生銀行 1年定期1.30%10,359円31,076円※251,794円※2
auじぶん銀行 1年定期1.00%7,969円23,906円※239,843円※2
楽天銀行 1年定期0.90%7,172円21,515円※235,858円※2
大手銀行 1年定期0.30%2,391円7,172円※211,954円※2

※1 変動10年の利率は半年ごとに見直されるため、表の値は2026年9月の適用利率1.02%が継続した場合の試算。実際は変動する。
※2 定期預金の3年・5年は1年定期を同一金利で自動継続した場合の試算。継続時の金利は将来時点で変動する。

注目はSBI新生銀行の1年定期(1.30%)と個人向け国債変動10年(1.02%)の差。税引き後で年間約2,390円の差になる。「今すぐ高金利を確保したい1年限定」ならSBI新生銀行が有利で、「金利上昇が続くなら長期でも損したくない」ならば変動10年国債が相性いい。5年で比較すると、現在の金利が継続すれば定期預金の優位が拡大するが、将来の金利次第で逆転もある。

中途換金と流動性リスクを比較

「途中でお金が必要になったとき使えるか」は見落としがちな視点だ。

商品中途換金の可否ペナルティ・注意点
個人向け国債 変動10年・固定5年・固定3年購入から1年後以降、1万円単位で可直前2回分の利子の80.03%(税引き前)を差し引き。元本割れなし
定期預金(多くのネット銀行)満期前でも中途解約可中途解約利率(0.01〜0.10%程度)が適用される。長期ほど損失感が大きい

国債は「購入から1年間はロック」が必須条件。ただし中途換金でも元本は100%戻る。急な出費に備えるなら、生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)は国債・定期預金とは別に普通預金や流動性の高い商品で確保しておく必要がある。

購入から換金まで全手順

個人向け国債の購入手順

  1. 購入窓口を選ぶ:財務省直販(国債の窓口)または、SBI証券・楽天証券などのネット証券や全国の銀行・郵便局の窓口でも購入できる。
  2. 購入申込期間を確認:毎月発行があり、申込期間(通常月初〜月末)内に注文する。期間外はできないため財務省の発行計画ページのカレンダーで事前確認する。
  3. タイプを選択し注文:変動10年・固定5年・固定3年から選び、購入金額(1万円単位)を入力。
  4. 入金と約定確認:購入代金を口座から引き落とし後、毎月15日(翌月初)に国債が発行される。約定通知を必ず保管する。

定期預金の開設手順(ネット銀行の例)

  1. 口座開設:各行のアプリまたはWebサイトからマイナンバーカード等で本人確認し口座開設。最短翌日〜1週間。
  2. 入金:普通口座に資金を入金してから定期預金に振り替える。
  3. 定期預金の申し込み:アプリ内の「定期預金」メニューから金額・期間を選択し確定。自動継続の有無もここで設定する。
  4. 証書(証明)の確認:定期預金の契約内容はアプリまたはWebで確認できる。スクリーンショットを保存しておくと安心。

個人向け国債の中途換金手順

  1. 購入から1年以上経過していることを確認(1年未満は換金不可)。
  2. 購入した証券会社・銀行の画面または窓口で「中途換金申請」を選択。
  3. 換金額(1万円単位)を入力し、「換金後の受取額」(ペナルティ差し引き後)を確認する。
  4. 換金完了後、2〜3営業日で口座に入金される(証券会社により異なる)。

初心者向け:どちらを選ぶべき判断基準

結論から言うと、以下の基準で選ぶと迷いにくい。

あなたの状況おすすめ理由
1年以内に使う可能性があるネット銀行の1年定期(流動性重視)中途解約が国債より柔軟(国債は1年ロック)
5〜10年使わないお金がある個人向け国債 変動10年元本保証+金利上昇局面で変動型の方が恩恵を受けやすい
3〜5年後の大きな出費に備えたい個人向け国債 固定5年 or ネット銀行の3〜5年定期金利を固定しつつ中途換金の選択肢も確保できる
今の高金利をすぐに確保したいネット銀行の1年定期(利率優先)2026年9月時点ではSBI新生銀行など1.30%が国債変動10年を上回る

なお、預金保険(ペイオフ)の保護額は「1金融機関あたり元本1,000万円+利子」まで。1,000万円を超える資金がある場合は複数行に分散するか、元本保証・財務省発行の国債に一部移すのも手だ。

FAQ

個人向け国債は本当に元本保証ですか?

はい。個人向け国債は日本国が発行する債券で、財務省が元本と利子の支払いを保証している。日本国の財政が維持される限り元本は100%返還される。金融機関の破綻リスクはなく、預金保険とは異なる保護の仕組みだ。ただし購入から1年以内は換金不可のため、流動性の確保は別途行う必要がある。

定期預金と国債の利子には税金がかかりますか?

どちらも同じくかかる。個人向け国債と定期預金のいずれも、利子に対して20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が源泉徴収される。NISA口座では適用されないため、NISAの非課税枠を先に活用し、余剰資金を国債・定期預金に振り向けるのが効率的だ。

個人向け国債はどこで買えますか?

財務省の窓口ネット(直接購入)のほか、SBI証券・楽天証券・マネックス証券などのネット証券や、全国の銀行・郵便局でも購入できる。ネット証券での購入が手数料・操作性の面でおすすめ。毎月購入申込期間があるため、財務省公式サイトのカレンダーを確認してから口座開設を進めると無駄がない。

個人向け国債 変動10年の利率はいつ変わりますか?

半年ごとに見直しがある。具体的には、発行日から半年経過するごとに、その時点の基準金利(10年物国債の落札平均利回り)を基に利率が再計算される。金利上昇局面では利率が上がりやすく、逆に政策金利が下がった場合は低下する。最低保証利率は0.05%で、それ以下にはならない仕組みだ。

ネット銀行の定期預金は安全ですか?

日本国内に本店のある銀行の預金は、預金保険制度(ペイオフ)によって1金融機関あたり元本1,000万円+利子まで保護される。SBI新生銀行・楽天銀行・auじぶん銀行・UI銀行はいずれも預金保険制度の対象であり、1,000万円以内なら実質的に国債と同等の元本保護を受けられる。

参考文献