「電気代やガス代は気にするけど、水道代はなんとなく払っている」——そんな人は多いのではないだろうか。実は水道料金は二部料金制という独特の仕組みで計算されており、使い方を少し変えるだけで月1,000円前後の削減が見込める。

筆者(小林)は三児の母で、物販を撤退してから家計の固定費を1つずつ潰してきた。水道代は「よく分からないから放置」していた項目のひとつだったが、仕組みを知って使い方を見直したら、2ヶ月検針で約2,000円(月あたり約1,000円)下がった実体験がある。

2026年4月以降、全国の水道事業体で料金改定(値上げ)が相次いでいる。総務省の「地方公営企業の経営」資料によると、水道管の老朽化更新と人口減少による収入減を背景に、2025〜2026年度に値上げを実施・予定する自治体は100以上にのぼる。夏の水使用量が増える前に、基本的な仕組みを押さえておこう。

水道料金の「二部料金制」とは?基本料金と従量料金の内訳

日本の水道料金は、ほとんどの自治体で「基本料金+従量料金」の二部料金制を採用している。これに加えて下水道使用料が別途かかるのが一般的だ。

結論から言うと、水道料金の請求書に書かれている金額は以下の3つで構成されている。

  • 基本料金: メーターの口径(13mm・20mm・25mmなど)で決まる固定費。水を一滴も使わなくてもかかる
  • 従量料金: 使った水の量(m³)に応じて段階的に単価が上がる「逓増制」が主流
  • 下水道使用料: 上水道の使用量に連動して計算される(汚水量=上水使用量とみなす自治体が多い)

たとえば東京都水道局の場合(2026年6月時点)、口径20mmの基本料金は1,170円/月(税抜)。従量料金は1〜5m³が0円、6〜10m³が22円/m³、11〜20m³が128円/m³……と段階的に上がっていく(東京都水道局 料金表)。

つまり、使えば使うほど単価が高くなるのがポイントだ。月20m³を超えるあたりから単価の上がり方が急になるため、ここを意識するだけで従量料金を抑えやすい。

口径サイズで基本料金が変わる|20mm→13mmへの変更は可能?

意外と見落とされがちなのが、メーターの口径による基本料金の差だ。東京都水道局の例では、口径13mmの基本料金は860円/月(税抜)、20mmは1,170円/月。差額は月310円、年間3,720円になる。

ただし口径の変更(ダウンサイズ)は簡単ではない。以下の条件を確認する必要がある。

  • 同時に使う蛇口の数と水圧が13mmで足りるか(2階建て住宅では水圧不足になる場合あり)
  • 給湯器・食洗機の必要水圧を満たすか
  • 工事費(自治体による。3〜10万円程度が目安)と回収期間の見合い

うちは三児で洗濯機・食洗機をフル稼働させるので13mmは現実的ではなかったが、単身〜2人暮らしで蛇口を同時に2つ以上開けない生活なら検討の価値がある。まずは自治体の水道局窓口に問い合わせてみよう。

月1,000円減らす具体的な節水テクニック5選

口径変更は大がかりだが、日常の使い方を変えるだけでも月1,000円(2ヶ月検針で約2,000円)の削減は十分に狙える。以下は筆者が実際に効果を感じた方法を、削減インパクトが大きい順に並べたものだ。

1. お風呂の残り湯を洗濯に使う(月400〜600円削減)

浴槽1回分の水量は約200リットル。これを洗濯の「洗い」工程に回すだけで、1回あたり約90リットルの水道水を節約できる。月30回洗濯するなら約2.7m³の節水になり、従量料金+下水道料金で月400〜600円の削減になる計算だ(東京都水道局 節水のコツ)。

残り湯用のポンプは2,000〜3,000円で買える。1ヶ月で元が取れる計算だ。

2. シャワーヘッドを節水型に交換する(月200〜400円削減)

節水シャワーヘッドは水の出口を細くして少ない水量でも水圧を保つ仕組み。一般的なシャワーの流量は毎分10リットル前後だが、節水型なら毎分5〜7リットルに抑えられる。家族4人が毎日10分ずつシャワーを使うなら、月に約3.6m³の節水が見込める。

価格は2,000〜5,000円が主流。自分で取り付けられるので工事費はかからない。

3. 食器洗いを「ため洗い」に切り替える(月100〜200円削減)

流しっぱなしで食器を洗うと、5分間で約60リットルの水を使う。洗い桶にためて洗い、すすぎだけ流水にすると使用量を半分以下に減らせる。食洗機がある家庭なら、手洗いより食洗機のほうが節水になるケースも多い(パナソニック 食洗機の節水効果)。

4. トイレの「大・小」レバーを使い分ける(月100〜200円削減)

トイレは家庭の水使用量の約21%を占める(国土交通省 水資源の利用状況)。「大」は約6〜8リットル、「小」は約4〜6リットル。毎回「大」で流している人は、「小」で済む場面を意識するだけで月0.5〜1m³程度の節約になる。

5. 洗濯の回数を「まとめ洗い」で減らす(月100〜150円削減)

洗濯機は容量の7〜8割で回すのが水効率がいい。少量を毎日回すより、2日に1回まとめて洗ったほうが、すすぎ回数分の水が浮く。ただし梅雨時期は生乾き臭のリスクがあるので、部屋干し洗剤やサーキュレーター併用が前提だ。

5つ合計で月900〜1,550円の削減幅。すべてを完璧にやる必要はなく、「残り湯洗濯」と「節水シャワーヘッド」の2つだけでも月600〜1,000円は見込める。

2026年の水道料金値上げ動向|自分の自治体をチェックする方法

2026年4月時点で、全国の水道事業体のうち約3割が今後5年以内の値上げを検討しているとされる(日本水道協会「水道事業の現況」参照)。背景には以下の構造的な問題がある。

  • 水道管の老朽化: 法定耐用年数40年を超えた管路が全体の約20%(2024年度末時点、厚生労働省調べ)
  • 人口減少: 水需要の減少により、1m³あたりの供給コストが上昇
  • 資材費・人件費の高騰: 更新工事のコスト増

自分の自治体の料金改定予定を確認するには、以下の手順がおすすめだ。

  1. 自治体名+「水道料金 改定」で検索
  2. 水道局の公式サイトで「料金表」「料金改定のお知らせ」を確認
  3. 検針票(2ヶ月に1回届く)の裏面に改定案内が書かれていることも多い

値上げ幅は自治体によって異なるが、10〜30%の改定が多い。仮に月5,000円の水道代が20%上がると月1,000円の増加。節水で1,000円削減できていれば、値上げ分を相殺できる計算になる。

検針票の読み方|自分の使用量を把握するのが第一歩

節水の前に、まず「自分が毎月どれだけ使っているか」を把握しよう。検針票に記載されている主な情報は以下のとおりだ。

  • 使用水量: 今回検針値 − 前回検針値(m³単位。2ヶ月分の合計)
  • 口径: メーターサイズ。基本料金に直結する
  • 料金内訳: 上水道料金(基本+従量)と下水道使用料がそれぞれ記載

総務省の家計調査(2025年)によると、2人以上世帯の水道代の全国平均は月あたり約4,200円(2ヶ月検針で約8,400円)。4人家族なら月5,000〜6,000円が目安だ(総務省統計局 家計調査)。

自分の使用量が平均より多いなら、まず「どこで水を使っているか」を意識するだけで行動が変わる。

FAQ

水道料金が2ヶ月に1回の請求なのはなぜ?

検針員が各戸のメーターを目視で読み取る方式が主流のため、コスト効率の観点から2ヶ月に1回の検針が標準になっている。自治体によっては毎月検針のところもある。

節水シャワーヘッドで水圧が弱くなりませんか?

水の出口を細くすることで少ない水量でも体感水圧を維持する設計が一般的だ。ただし製品によって差があるので、レビューで「水圧」に言及しているものを選ぶとよい。

マンションでも口径の変更はできる?

マンションの場合、メーターは管理組合や管理会社の管轄であることが多く、個別の口径変更は基本的にできない。戸建てに比べてハードルが高いので、従量料金の削減に集中するのが現実的だ。

井戸水を使えば水道代はゼロになる?

井戸水は上水道料金はかからないが、下水道に流す場合は下水道使用料(みなし使用量で計算)が発生する。また井戸の掘削費用(30〜100万円程度)と水質検査の維持費もかかるため、一般家庭ではコスト的に見合わないケースが多い。

水道料金の減免制度はある?

生活保護受給世帯、児童扶養手当受給世帯、障がい者世帯などを対象に、基本料金や従量料金の減免制度を設けている自治体がある。条件は自治体ごとに異なるので、水道局の窓口や公式サイトで確認しよう。

参考文献