「SBIと楽天と松井、どこで口座を開けばいい?」──投資を始めようとする初心者が最初につまずく壁がこれだ。2026年8月現在、主要3社はいずれも国内株の取引手数料を実質ゼロにしており、手数料だけでは差がつきにくい状況になっている。そこで本記事ではNISA対応・米国株手数料・アプリ操作性の3軸を中心に比較し、あなたの状況に合った証券会社を即決できるよう整理した。

まず押さえたい3社の基本プロフィール

比較に入る前に、各社の特徴を一言で把握しておこう。

  • SBI証券: 口座数業界最大級(2026年3月時点で1,300万口座超)。品揃えと機能の充実度が強み
  • 楽天証券: 楽天経済圏のポイント還元が強み。iSPEEDアプリの使いやすさに定評あり
  • 松井証券: 老舗(1918年創業)でサポート力が業界トップ級。初心者に特に手厚い

3社とも新NISAに完全対応しており、口座開設・維持は無料。どれを選んでも投資の基本機能は揃っている。重要なのは「自分の使い方に合うか」だ。

手数料3軸比較|国内株・米国株・投資信託

2026年8月現在の主要手数料を以下にまとめた(税込表記)。

国内株式(現物取引)

証券会社手数料条件・注意点
SBI証券0円ゼロ革命コース適用時(2023年9月〜)
楽天証券0円ゼロコース適用時(2023年10月〜)
松井証券0円1日の約定代金合計50万円以下の場合

国内株は3社とも実質無料。ただし松井証券は1日の約定合計が50万円を超えると手数料が発生する。大きな取引が増えた段階ではSBI・楽天の優位性が出てくる点は頭に置いておこう。

米国株取引(2026年8月時点)

証券会社手数料率最低/上限(税込)
SBI証券約定代金の0.495%最低0ドル・上限22ドル
楽天証券約定代金の0.495%最低0ドル・上限22ドル
松井証券約定代金の0.495%最低0ドル・上限22ドル

米国株の手数料は3社で横並び。米国株・ETFをメインに取引するなら手数料以外の要素(取扱銘柄数・アプリ・為替スプレッド)で選ぶことになる。なお為替スプレッドはドル円で1ドルあたり25銭程度(各社共通・2026年8月時点)。1万ドルの購入につき約2,500円の為替コストが発生する点は覚えておきたい。

投資信託の取扱本数とクレカ積立

証券会社取扱本数(目安)クレカ積立最大ポイント還元率
SBI証券約2,700本三井住友カード(月最大10万円)最大5.0%(カードランク依存)
楽天証券約2,700本楽天カード(月最大10万円)0.5%〜(楽天経済圏で上乗せ可)
松井証券約1,700本なし

投資信託の本数ではSBI・楽天が松井証券をリードするが、新NISAで主に使われるeMAXIS Slimシリーズや楽天・オールカントリーなどの主要銘柄は3社すべてで取り扱っている。積立銘柄が絞られているなら松井証券でも困ることはない。

NISA対応の実力差|クレカ積立ポイントで年間いくら得をするか

新NISA(2024年〜)は年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯投資枠1,800万円で運用できる非課税制度だ(詳細は金融庁「新しいNISAについて」参照)。3社ともNISAに完全対応しているが、クレカ積立のポイント還元に大きな差がある。

SBI証券×三井住友カードの組み合わせは、プラチナプリファード(年会費3.3万円・税込)を使うと積立ポイント還元率が最大5.0%になる。月10万円積み立てた場合、年間で最大60,000ポイントの還元だ。ただしカードの年会費とポイント消費先を合わせて試算してから判断してほしい。

楽天証券×楽天カードは基本還元率0.5%で月10万円積み立てると年間6,000楽天ポイント。楽天市場での買い物と組み合わせるとSPU(スーパーポイントアッププログラム)で上乗せが狙えるため、楽天経済圏ユーザーなら実質的な恩恵は大きくなる。

松井証券はクレカ積立機能がない。ポイント還元を積立投資に組み込みたい場合は、SBIか楽天が選択肢になる。

実際に編集部でSBI・楽天のNISAつみたて設定を動かしてみたが、eMAXIS Slim全世界株式を検索して毎月の積立額を入力するだけで5分もかからなかった。操作に不安がある人でも、公式のガイドどおりに進めれば詰まる場面は少ない。

アプリ操作性|3社のUIを使って比べた率直な評価

スマホで投資を管理するなら、アプリの使い勝手は毎日の満足度に直結する。3社のアプリを実際に使った上での評価を共有する。

楽天証券「iSPEED」— バランス型で初心者に最もやさしい

3社の中でもっとも評価が高いのが楽天証券のiSPEEDだ。国内株・米国株・投資信託をひとつのアプリで管理でき、ホーム画面の設計がシンプルで直感的に操作できる。App Storeでの評価は4.5点前後(2026年8月時点)を長期にわたって維持している。チャートの見方もチュートリアルが充実しており、はじめて株価チャートを見る人でも戸惑いにくい。

SBI証券の各種アプリ— 機能豊富、ただし最初は複数アプリに迷う

SBI証券は「SBI証券 株アプリ」「かんたん積立アプリ」など、目的別に複数のアプリに分かれている。機能は3社で最も豊富だが、最初は何をダウンロードすればいいか戸惑う人もいる。新NISAのつみたて投資枠メインなら「かんたん積立アプリ」1本で完結するので、目的を絞れば複雑さは軽減される。

松井証券「松井証券 株アプリ」— シンプルさとサポートが武器

松井証券のアプリはシンプルな設計で、余計な情報が少ない分、初心者には見やすい。機能数ではSBI・楽天に劣るが、それが逆に「何を見ればいいか分からない」という混乱を防ぐ。特筆すべきはカスタマーサポートで、平日15:30まで電話対応しており、アプリの使い方を直接聞ける体制が整っている。「分からなかったら電話する」スタイルの初心者にとっての安心感は他社と一線を画す。

ユーザー属性別の最適解|あなたはどれを選ぶべきか

結論から言うと、状況によって最適な証券会社は変わる。以下の表を参考にしてほしい。

あなたの状況最適解理由
楽天カード・楽天市場を日常的に使っている楽天証券楽天ポイントで積立、iSPEEDが使いやすい
三井住友カード(プラチナ系)を持っているSBI証券クレカ積立の還元率が最大5.0%で最優秀
米国株・ETFを本格的に取引したいSBI証券取扱銘柄数・機能が3社で最も充実
投資が初めて、分からなかったら聞きたい松井証券電話サポートが手厚く初心者が安心できる
とにかくシンプルに始めたい・迷いたくない松井証券余計な機能が少なく混乱しにくい
楽天も三井住友も使っていない楽天証券アプリの完成度が高く初心者の入門に向いている

「1社だけ選ぶなら?」と聞かれれば、楽天経済圏ユーザーには楽天証券、それ以外の大多数にはSBI証券が無難な第一候補だ。口座維持費は無料なので、「SBIで始めて、後から楽天を追加する」という併用パターンも実際に使われている選択肢だ。NISAは1人1口座(金融機関1社)に限られるため、どこでNISAを使うかだけ最初に決めておけば、特定口座は複数社で持てる。

FAQ

証券口座は複数持っていいの?

問題ない。口座維持費は無料なので、SBIと楽天を並行して持つ人も多い。NISAは1人1金融機関に限られるが、特定口座(課税口座)は複数社で開設可能。「NISAは楽天証券、米国個別株はSBI証券」といった使い分けも現実的な選択肢だ。

松井証券は初心者向けとはいえ、将来機能が足りなくなることはある?

新NISAで日本株・投資信託をメインに長期積立するなら、松井証券で機能が足りなくなる場面は少ない。米国個別株の頻繁な取引やIPO応募に積極的に取り組みたいと考えるようになったとき、SBIや楽天の方が選択肢が広がる。そのときに追加開設すれば十分だ。

NISAは楽天証券とSBI証券どちらで開くべきか?

楽天カードや楽天市場を日常的に使っているなら楽天証券でまとめる方がポイント効率が良い。三井住友カード(特にプラチナ系)をメインで使っているならSBI証券のクレカ積立還元率の方が高くなるケースが多い。どちらにも属していない場合は、アプリの使いやすさで楽天証券を選ぶ人が多い傾向がある。

口座開設にかかる時間はどれくらい?

オンライン申込は3社とも10〜15分で完了する。マイナンバーカードを用意しておくとスムーズだ。審査・口座開設完了まで最短で当日〜翌営業日、通常は2〜5営業日が目安。開設後、入金して初取引できるまでの全体の流れは1週間以内に収まるケースが多い。

手数料以外に見落としがちなコストはある?

米国株取引では為替スプレッドに注意。各社ともドル円で1ドルあたり25銭程度(2026年8月時点)が発生し、1万ドル分を購入する場合は約2,500円の為替コストになる。また信託報酬(投資信託の保有コスト)は証券会社ではなくファンド側の費用なので、どこで買っても同じ。eMAXIS Slim全世界株式の信託報酬は年0.05775%(2026年8月時点)で、長期保有でもコストは小さく抑えられている。

参考文献