2025年のSNS型投資詐欺の被害額は過去最高を更新し続けている。警察庁の発表によれば、2024年1〜12月のSNS型投資詐欺の被害総額は約1,099億円、認知件数は5,722件にのぼった(警察庁 令和6年における SNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について)。Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTokで「月利10%保証」「元本保証」といった甘い言葉が飛び交っているが、これらは金融商品取引法に抵触する可能性が高い違法な勧誘だ。

編集部にも「DMで紹介された投資グループに入ったが大丈夫か」という相談が定期的に届く。この記事では、SNSで出回る投資詐欺の典型的なパターンを7つに分類し、被害に遭う前に確認すべき具体的手順を2026年5月時点の最新情報でまとめた。

SNS投資詐欺が急増している背景

SNS型投資詐欺が急増した背景には、新NISAの開始(2024年1月〜)がある。投資に興味を持つ層が一気に広がり、「投資初心者」がSNS上に大量に可視化された。詐欺グループにとっては絶好のターゲットリストだ。

金融庁は2024年12月に「SNS等を利用した投資詐欺等に関する注意喚起」を改めて公表し、被害拡大に警鐘を鳴らしている(金融庁 SNS等を利用した詐欺にご注意ください)。

また、生成AIの普及で著名人の偽広告やディープフェイク動画も増加しており、見分けるハードルが上がっている点も見逃せない。

投資詐欺を見分ける7つの危険サイン

結論から言うと、以下の7つのうち1つでも該当したら「詐欺の可能性が高い」と判断していい。

1. 「月利10%保証」「元本保証」を謳っている

金融商品取引法では、確実に利益が出ると誤解させる表示(断定的判断の提供)は禁止されている(金商法第38条第2号)。正規の証券会社や運用会社が「保証」という言葉を使うことはない。年利10%でも異常だが、「月利10%」は年利換算で約214%。ウォーレン・バフェットの長期平均リターンが年利約20%であることを考えれば、いかに非現実的かわかる。

2. 紹介報酬・マルチ構造がある

「友人を3人紹介すれば月5万円のボーナス」のような報酬体系はポンジ・スキーム(自転車操業型詐欺)の典型だ。新規参加者の出資金を既存メンバーへの配当に回す構造で、必ず破綻する。

3. 金融庁の登録がない業者である

投資助言・運用業を行うには金融商品取引業者としての登録が必要だ。後述する金融庁の検索ページで確認できる。未登録で勧誘していれば、それだけで違法。

4. 出金制限や「税金名目」の追加入金を要求される

「利益が出ているが、出金には税金の前払いが必要」と言われたら確実に詐欺だ。日本の金融機関では、出金前に税金を別途振り込ませる仕組みは存在しない。

5. LINEグループやTelegramに誘導される

SNSのDMからLINEグループやTelegramチャンネルに誘導し、「先生」「講師」がシグナル配信するパターンが多い。クローズドな空間に囲い込むのは、外部の目を遮断するためだ。

6. 著名人の名前・写真を無断使用している

有名投資家や経済評論家、芸能人の写真を使った広告は、ほぼすべてが無断使用だ。本人がSNSで否定声明を出すケースも相次いでいる。公式アカウントの認証マーク(青バッジ)を確認し、公式サイトで本人発信かどうか裏取りしよう。

7. 海外取引所への送金を求められる

「指定の海外取引所に暗号資産を送金してください」と言われたら、資金の追跡が困難になることを狙っている。国内の金融庁登録業者を経由しない時点でリスクは極めて高い。

被害に遭う前に確認すべき3つの手順

手順1: 金融庁の登録業者検索で確認する

金融庁は「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」を公開している。勧誘してきた業者名・サービス名で検索し、登録がなければ違法業者の可能性が高い。

あわせて「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」のリストも確認しよう。過去に警告を受けた業者名が掲載されている。

手順2: 国民生活センター・消費者ホットライン(188)に相談する

「怪しいが詐欺かどうかわからない」段階でも、消費者ホットライン(局番なし 188)に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつないでもらえる(国民生活センター 全国の消費生活センター)。相談は無料だ。

手順3: 警察の「#9110」に通報する

すでに送金してしまった場合は、すぐに警察相談専用電話 #9110 に連絡する。振込先の口座凍結が間に合えば、被害金が戻る可能性がある(振り込め詐欺救済法に基づく)。

2026年5月時点では、警察庁が「SNS型投資・ロマンス詐欺」の特設ページも公開しており、最新の手口と対策がまとまっている。

「自分は大丈夫」が一番危ない理由

編集部で実際に試してみたところ、Instagramで「投資 初心者」と検索しただけで、3件のDMが届いた経験がある。プロフィールには高級車や海外旅行の写真が並び、投稿のコメント欄にはサクラの「私も利益出ました!」が大量についている。

消費者庁の2024年度の調査では、被害者の約6割が「自分は騙されないと思っていた」と回答している。高学歴・高収入の層も例外ではない。「月利10%」「限定枠」「今日中に」——こうした心理的な圧力(緊急性の演出)が判断力を鈍らせる。

つまり、知識よりも「確認する仕組み」を持つことが最大の防御だ。上記3つの手順をブックマークしておくだけでも、勧誘された瞬間に冷静に動ける。

FAQ

SNSで「無料セミナー」に誘われたが、参加しても大丈夫?

無料セミナー自体は違法ではないが、セミナー後に高額な情報商材や投資口座への入金を勧められるパターンが多い。主催者が金融商品取引業の登録を受けているか、金融庁のサイトで事前に確認してから判断しよう。

すでにお金を振り込んでしまった場合、取り戻せる?

振込先が国内銀行口座の場合、警察への通報(#9110)で口座凍結が間に合えば、振り込め詐欺救済法に基づいて被害金の一部が返還される可能性がある。暗号資産で送金した場合は追跡が難しく、回収率は大幅に下がる。いずれにせよ、早期の通報が鍵だ。

金融庁の登録業者なら安全と言い切れる?

登録業者であっても、断定的判断の提供(「絶対儲かる」等)や適合性の原則に反した勧誘は違法だ。ただし、未登録業者よりは監督・検査の対象となるため、トラブル時に金融ADR(裁判外紛争解決)等の救済手段が使える点で大きく異なる。

家族がSNS投資詐欺に巻き込まれているかもしれない。どうすれば?

本人に直接「詐欺だ」と伝えても、信じてもらえないケースが多い。消費者ホットライン(188)では家族からの相談も受け付けている。第三者の専門家から客観的に説明してもらうのが有効だ。

参考文献